悲しみの自由の喜び

金石範“火山島”小説世界を語る!―済州島四・三事件/在日と日本人/政治と文学をめぐる物語

金石範“火山島”小説世界を語る!―済州島四・三事件/在日と日本人/政治と文学をめぐる物語


一見普通に生活しているように見えて、じつは過去の忌まわしい記憶を押し殺して生きている人達がいる。なかったことにしよう。忘れよう。決して口にするまい。そう覚悟して一見平和になった時代をやりすごす。だが、それは否応なく滲み出る。言葉の端々に殺された記憶が濃い影を落とす。それが無意識の涙の海面に波紋を生じさせる。泣いて下さい。涙を流してください。悲しんで下さい。どうか思いっきり。悲しむことさえできない沈黙を独りで抱え込まないで下さい。あなたはもう自由なはずだ。脳天気になって「うたかたの日々」とか「日々の泡」を一緒に歌いましょうよ。