アカゲラのリフレーン


アメリカノリノキ(亜米利加糊の木/糊空木, Smooth hydrangea, Hydrangea arborescens 'Anaabelle')、通称「アナベル」。


萎れ果てたアナベルを撮っていたとき、拍子木の音に似た聞き覚えのある乾いた丸みのある音が聞こえていた。何だろう? アナベルを撮るのもこれが最後かもしれないと思って接近して数回シャッターを押して、顔を上げると、すぐ傍の裸になった林檎の木の枝にコガラが飛来した。音の主ではない。目が合った。驚いた。向こうも驚いて、しばらく呆然としていた。撮りたいと心が動いた瞬間、コガラは飛び去った。乾いた丸みのある音がまた聞こえた。音の主を目で探した。するとアカゲラが少し離れたところにある松の幹をよじ登るのが見えた。「ああ、こいつが木を啄く音だったか」。乾いた丸みのあるユーモラスな音のリフレーンが耳に残った。ちなみに、高野伸二著『フィールドガイド日本の野鳥』(214頁)には、アカゲラの鳴き声については「キョッ、キョッと鳴く。飛びながらケレケレケレという鋭い声も出す」と書かれている。