記憶の葉


マルメロ(榲桲, Quince, Marmelo[pol.], Cydonia oblonga


写真は10月20日に齋藤さんの直売所で二週間ほど前から店番をしていた娘さんから五個二百円で買った葉付きのマルメロの果実の最後の一個。二日後の22日に娘さんから、齋藤さん(お母さん)は体調を崩して入院中であることを知らされた。詳しいことは聞けなかった。翌日の23日に直売所の下りたままのシャッターには臨時休業を告げる貼紙がしてあった。それ以来、直売所が開くことはなかった。そんな経緯があっただけに、今年は例年より少し早めに店じまいしたんだなと了解することはできなかった。


脳をはじめとする動物の臓器だけでなく、地球そのものが薄い一枚の巨大な「葉」(g-lobe)であるというイメージをはっきりと教えてくれたのはソローだったが、そんな薄い「葉」(lobe, leaf)のイメージは本の薄いページのイメージにもつながっていることに気づいて以来、色んな葉を眺めるたびに、記憶もまた限りなく薄い葉っぱのようなものだと思う癖がついた。


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