ホオノキ(朴の木, Japanese bigleaf magnolia, Magnolia obovata[hypoleuca])。生薬名ワコウボク(和厚朴)/コウボク(厚朴)。薬効。
朴の木だけが寂しく目立つ廃庭。ホオノキは強い「アレロパシー(Allelopathy)」を示すことが知られている。「植物が成長の場を確保するために、根や葉などから他の植物の生長を抑制する物質を分泌する現象」(『生物学用語辞典』)である。
近づくと、花の「バニラのような甘い香り」が漂ってくる。香りの主成分はベンゼノイドと呼ばれる芳香族化合物である。安定な正六角形の共鳴構造をもつベンゼンが多くの芳香族化合物の母核をなすことが知られている。「芳香族」という命名が面白い。有機化学の文脈を離れて、芳香を放つ植物群を「芳香族」と呼びたくなる。