望月寒川(もつきさむかわ)。澄川副道2号橋から下流を望む。
数週間前のある朝、橋の上から川を見下ろしているおばあさんを見かけて以来、同じ場所、地点に立って川を見下ろしたいと思っていた。その橋はちょっと変わっていて、高架道と並行する「河川副道」と呼ばれる坂道の途中に架かっている、というより、その坂道の一部のようにしてあるので、それが橋であること、そしてその下に川が流れていることに気づく人は少ないかもしれない。歩道からなら、川は視界に入りやすいだろうが、車道の車の中からでは視界には入りにくいだろう。私は車でその坂道を上るたびに、橋の欄干に固定された「澄川副道2号橋」と「望月寒川」と書かれたプレートが目にとまっていたし、ほぼ一年前にそこから川を数百メートル北に下ったところに架かっている西澄橋から上流を眺めたこともあったので、車から降りて、歩きさえすれば、橋の上から川を見下ろすことはできると思っていた。おばあさんの横には自転車が欄干に立てかけてあった。走行中の車の中から一瞥しただけだったが、自転車を押して坂道を上る途中でふと下を流れる川に気づいて、ホッと一息ついていたのだろうと想像した。ちょうど山桜の花が満開の頃だったかもしれない。実際に、そこから川を見下ろしてみたら、桜の花はなかったが、案の定ホッと一息つけるような川の景色だった。