水と熊除け



蒸し暑い日の散歩ではかなりの量の汗をかき、喉が乾く。自販機を見かけると、ペットボトル入りの水を買っておくことがある。川を溯るようにして歩いているうちに人里を過ぎ、気づいたら薄暗い林の中の曲がりくねった細い流れに沿う道にいる。突然なまぐさい臭いがツーンと鼻を突く。少し前に獣が通り過ぎたに違いないと思う。林の奧の暗闇から何かに見られているような気がする。わざと咳払いをしてみたりする。