砂漠の思想

受講生の皆さん、こんばんは。

今回は
1)二、三、前置きの話をしてから、
2)レポート課題について説明し、
3)スポーツ一般、そして昨日のサッカーW杯予選リーグ「豪州対日本」の試合について、「情報編集」の観点から興味深い点に関して語り、
4)本論の「仏教とイスラム教」に関して「9砂漠の思想」を敷衍しながら、ユダヤキリスト教イスラム教の根源的な違い、仏教のルーツと複雑な流れについて概観しました。

2)に関して簡単に書いておきます。
 1.高校生向け「情報文化論」の授業計画書
 2.興味のある対象に関して、「情報編集」という観点から考察した論文
 3.講義で扱ったトピックを一つ選んで、調査し、推理した結果をまとめた論文
のいずれか一つを選択し、ワープロ書きA4(40×30)2枚程度で提出(期限7/11)する。
成績評価に関しては、「出席カード+レポート」の総合評価ですが、まず出席カード提出率と記述内容の質によって課題提出資格の有無を6/20に発表します。白紙提出が3回以上の者、極めて失礼な書き方を続けている者については通知の上、面談し、結果によっては課題提出資格無しと判定します。レポートの評価基準に関しては、(1)講義内容を踏まえていることが反映されていること、(2)努力の跡、独自の工夫、考察、推理等が見られること、の二つです。

3)に関しては、持論を熱く展開してくれた人が多かったのに感心しました。一部にやや誤解があったようですが、私の個人的な趣味の話では全くなくて、同じスポーツ観戦でも、どこに視点を置くかで、見えて来るものは全然違ってくるということです。そして、「日本的」であることと「ブラジル的」であることが、情報文化的にどう違い、その違いを情報編集にどう生かすことができるのか、というさらに深い観点からの考察への入り口に案内した訳です。そういう意味で、2週間後の「ブラジル対日本」戦は見方によっては歴史的な一戦になることは間違いありません。

4)では「砂漠」と「森林」という地理的であると同時に精神的でもある風土の観点からユダヤキリスト教イスラムと仏教の根本的な違いについて説明し、遊牧と定住という生活様式の観点からインドにおける仏教の起源を辿り、その後の展開をインド→中国→日本とごく大雑把に見ました。多くの人がかなり深い視点から感想を書いてくれています。大変感心しました。またいくつもの本質的な疑問の提示もあり、嬉しく思います。メイン資料「08仏教とイスラム教」に目を通して、授業では触れられなかった、道教儒教の特徴と仏教との関係や、華厳経密教神道等に関して知識を補っておくとよいでしょう。また、「notes」で基本タームの意味が確認できるようになっていますから、活用するように。蛇足ながら、「宗教」に関する話題は、信仰の問題とは別に、人間社会に普遍的にみられる大規模な「情報編集」の見本であるという点をしっかりと押さえてください。後に「宗教」は「科学」や「哲学」とも情報的につながっていることを知ることになります。また、現代日本人である自分が「無宗教」であると素朴に「信じている」人もいるようですが、それは自覚的な信仰がないだけで、宗教的な根深いくせを私たち日本人は言葉の中にも沢山抱えている、見事に継承していることを知っておいたほうがいいでしょう。逆に、古代遊牧民が育んだ「輪廻」観念や「霊魂不滅」観念等に関しても、違った風土と生活がもたらす観念への想像力と感受性を発揮できるようになってください。