世界一寂しい汀Montauk:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、35日目。


Day 35: Jonas Mekas

Sunday February. 4th, 2007 5 min. 40 sec.

In Montauk
together with Basho,
I ruminate on the
shores of the
Atlantic Ocean.

モントーク
芭蕉とともに
大西洋の汀に
思いを巡らせる。

波の音、風の音、風に戦ぐ葦、海岸に降りる階段、小石の海岸、光、青空、雲、打ち寄せる白波、逆光、鼻歌。海岸に置かれたカメラがメカスを捉える。小石を拾っては、ちょっと玩び、ひょいと投げる。タイプされたテロップ、Bashoのhaikuが入る。

lonlier I thought
than the Suma beach-
the closing of autumn
on the sea before me.
Basho

オリジナルの句は。

寂しさや
須磨にかちたる
浜の秋
芭蕉

メカスが使う"shores"には"coast"や"beach"と違い、海から陸を見る視線が籠められている。芭蕉が色浜を須磨よりも寂しと歌ったときにも、彼は海上の船から色浜を見ている。つまり海から見える陸、そこに降り立った自分を日本一、世界一寂しいと歌ったわけだ。リトアニアから大西洋という海を超えてニューヨークに漂着した寄物のような自分。

再びカメラを手にしたメカスは回転しながら汀にいる自分を撮る。打ち寄せては引いていく波の音が強くなる。カメラはその波の動きに近づき、わずかに水平線を捉える。わずかに。

比べ物にならない体験だが、以前書いたように、3年前アメリカ滞在最後の月に敢行した一人旅の最終日、運転中胃けいれんを起こして、カリフォルニアの汀で太平洋をしばらく眺めたときのことを思い出した。

モントークといえば、映画『フィラデルフィア・エクスペリメント』にもなった 「モントーク・プロジェクト」でも知られるキャプテン・ヒーロー空軍基地がある、ニューヨーク州ロングアイランドの岬に位置する町。