ジョナス・メカスによる365日映画、52日目。
Day 52: Jonas Mekas
Wednesday February. 21st, 2007
5 min. 45 sec.
I get angry, in a
way...The tabloids,
the TV. I sort of flip
out...But I have a
good reason for it --
私はタブロイド紙とテレビに
ちょっと腹を立てている。
少しは夢中になることはある
…しかし今回は理由があって怒っている
タブロイド紙の一面、スキンヘッドのブリトニー(Britney Spears, 1981-)の写真が大写しにされる。数日前からアメリカの芸能筋ではブリトニー報道が加熱していることを知った。People.comによれば、16日に丸坊主姿を見せた後、昨日ロサンゼルスのリハビリ施設に入所した。
「どうして彼女を放っておかないんだ……。」
朝食の食卓でメカスは怒っている。カメラに向かってその怒りをぶつける。
「ブリトニー、いいじゃなか。リラックスしていい顔してる。」
メカスはタブロイド紙やテレビの報道に怒りを露にする。それらが取りざたするブリトニーの神経衰弱について、世論を向こうに回して異論を展開する。
「みんな、いいかい。聞いとくれ。（馬鹿言ってんじゃないよ。「鈍感」が売りだった某国の元首相とは違うんだからね。）*1今の世の中、まともな人間なら神経衰弱になるのが当然さ。特にアーティストには神経衰弱は必要でさえあるんだ。神経衰弱にならないような輩は信用おけない。そういう連中は嫌いだ。
Leave her alone! 彼女を放っておけ！
糞真面目の、正常で、退屈な連中よ。
見てごらん、彼女の顔を。しゃべらない、歌わない、この顔を。美しいじゃないか。この顔は内省的だよ。内面的。アーティストかアーティストでないか。危険なことなんだ。非常に危険。アーティストでいることは。詩人でいることは。お高くとまった連中よ。お前たちは何者だ？ちょっと自分を見てみろ。明日の朝。鏡の中の。自分を見て、それからこの顔、ブリトニーの顔と見比べてみろ。」
同席するベン・ノースオーバーが意見を言う。
「彼女は変わろうとしているんだ。移行の時期なんだ。この顔は清らかだよ。前進しようとしてるんだ。」
再び、メカス。
「はっきりしている。今の状態から抜け出して変わろうとしている。水中に沈んでいるんだ。当然の時の流れ。人生はいつも前進している。ぜひ言っておきたいことがある。彼女にならって、みんな頭を剃って別人になってほしい。なぜなら、今いる場所が場所だから。西欧文明に属する者みな、たぶんアジアの人間もアフリカの人間も。いつの日か、みんな頭を剃れば、そのときはっきりと気づくはずだ。例外はあるだろうが、だらだらと引きずってきたことを。頭を剃ろう。と言ってもだれもそうしないことは分かっているが。
だから君を祝福する、ブリトニーよ。君の勇気を。」
*1:shout by elmikamino
