10月10日にお知らせしたように、ようやく、October 4th（10月4日）のフィルムの全篇を見ることができた。10月4日のエントリーに「追記」する煩雑さを避けて、新たにここに紹介することにした。
ジョナス・メカスによる365日映画、10月4日、277日目。
Day 277: Jonas Mekas
Thursday, October 4th, 2007
3:00 min.
books on Driggs
Avenue, Williamsburg,
Brooklyn ---
ブルックリン、
ウィリアムズバーグ、
ドリッグズ・アヴェニュー
路上の本、本、本…
October 5th（10月5日）にバルカリスとフォンと三人で輪廻転生について会話していた同じ薄暗いバーでメカスはカメラに向かって「今危機を迎えているんだ」と意味深長な事を言う。「...人生はとても複雑だ...」
表紙が破れた本、しわくちゃの汚れた頁が開いた状態の本などがゴミの山のように路上に大量に散乱している。散乱した本の中から目についた本のタイトルにズームしながら動くメカス。「大いなる幻影」というタイトルが見える。途中から薄暗いバーでの音声、メカスとバルカリスの会話の声や音楽や他の客の声、が大きく被る。「今までの人生のなかで一番深い危機を迎えている。誰も私の言うことを信じないだろう。真夜中に目覚めて、すべての事を考え始めて、眠れなくなった。すべてのことさ、世界の、人生の。すべてなんだ。」
流れゆく人生の点在する繋留地と言えるかもしれないたくさんの本の間を彷徨うかのようなメカスの視線＝カメラのせわしない移動。これからどうしたらいいか、という人生に絶えずつきまとう最も深刻な問題をめぐって会話するメカスとバルカリスの声が断片的に聞こえる。「楽しめばいいんだ」とバルカリスの声。「楽しむ、か」とメカス。後は聴き取れない。
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このOctober 4th（10月4日）のフィルムでは、かつてないイメージとサウンドの大胆な「編集」に驚いた。しかもゴダールのようにあざとくない、というか、イメージの記憶と音声の記憶の乖離と結合に関して、「自然」にさえ感じられる効果を生み出していると思った。
