Steve.Museum:The Art Museum Social Tagging Project

知っているものは探すことができるけど、知らないものは探しようがない。そもそも探そうともしないのが今までの常識。世の中には存在することさえ知らないものの方が圧倒的に多いのは事実だけど、そういうものに偶然出会えればラッキーで、出会えなければ、それはそれで仕方がないと諦めるのが今までの常識。

ところが、存在することさえ知らなかったものたちに出会う偶然を限りなく必然に近づけることができるかもしれない方法が生まれた。フォークソノミー。例えば、今まではXという対象にAという名前を知らなければ近づけなかったところが、そのXという対象にa, b, c, d, ...という小さな名前が沢山つくことによって、Xに近づくための道が沢山用意されるということ。a, b, c, d, ...は個人が勝手につける名前で「タグ」と呼ばれる。タグをつけることを「タギング」、「タグ付け」と呼ぶ。ただし、ここでいう「名前」は名詞とは限らない。それこそウィトゲンシュタインのいう「名」。「小首かしげて」というような状態記述でもOK。

タグというのは各人各様の連想のなかでつけられる名前だから、その数が増えれば増えるほど、対象に接近することができる道も増えることになる。


美術作品探しにフォークソノミーの力を応用しようというプロジェクトが進行中であることを知った。

「ソーシャル・タギング」とはフォークソノミーの別名である。このプロジェクトの動機は、美術館につとめる美術作品に詳しい人たちが、もっと多くの人に作品を見てもらいたいなあ、どうすればいいかなと考え始めたところにある。自分達が知る素晴らしい作品の存在を多くの人に知らせるにはどうしたらいいか。それは多くの人が存在することさえ知らない対象へと至る道を作ること。作者名や作品名や専門的な用語だけでは、それらを知る人でなければ、当の作品に近づくことは非常に難しい。

そこで、Steve.Museumの開発者たちは、美術館の協力を得て、まずは大量の作品の写真を多くの人にどんどん見てもらって、連想した名前を好きにタギングしてもらうことにしたわけだ。現在、Steve.Museumはタギングのボランティアを募集中である。

登録すれば、すぐにプロジェクトに参加することができる。