Jonas’ COOP Speech: Jonas Mekas


ジョナス・メカスの公式サイト(jonasmekas.com)の無料ダウンロード(Free Downloads)のページにアップされていた二本のフィルムのうちのもう一本は、2004年の映像作家協同組合(The Filmmaker’s Cooperative)、略称「コープ(the COOP)」の記念祭におけるメカスの単独演説の模様を収めたもの。

From the diaries
This was filmed on July 1, 2004.

「単独演説」と訳した"Independence Speech"の"Independence"にはもちろん「独立」という意味合いが二重に強く籠められている。ひとつは、そもそもコープはいわゆる「独立」映画専門の配給センターであること。もう一つはコープを支える人々がみなそれぞれ「独立」をこの上なく尊重する人間であることである。演説のなかで、メカスは「自由(Liberty)」という言葉も使っている。そして、ハリウッドとは「別」であることを強調している。それは単純な「反(アンチ)」を唱えているのではなく、別の「選択」をし、別の「樹」を育て、別の「夢」を見る権利を至極真っ当に主張しているだけである。メカスは最後に、例によって、「友よ(friends)」と呼びかけて、訴える。「われわれの前で夢を見る者たち、われわれの前で夢を見る者たちを裏切らないようにしよう!」

映像作家協同組合の公式サイトの「沿革」(History)のページではメカス自身が書いた「映像作家協同組合:略史」(The Film-Maker's Cooperative: A Brief History)を読むことができる。それによれば、コープはメカスの呼びかけによって1962年1月7日に産声をあげたことになっているが、演説の中では、メカスは1962年1月8日と繰り返している。

コープ誕生直後、1962年1月25日にメカスはヌーヴェル・ヴァーグthe New Wave, La Nouvelle Vague)程度のものにかまけていないで、目の前に起こりつつあるもっと底の深い革命、新しい映画(新しい人間)の起源を見る必要を訴える文脈でこう書いている。

映画は揺らぎ始めた。......映画は芝居じみたものを捨てるようになり、映画自身の真実を探り、何ごとかをつぶやき始めた。......真実はそこに起こることだけである。......生を垣間見せ、大きな刺激と美をもたらすものは、ささいなもの、はかないもの、偶然のもの、過ぎゆくものである。......つねに目ざめ、つねに変化している映画のみが、真のわれわれの姿を、偽りのわれわれの姿を、われわれの憎んでいるものを、われわれの必要としているものを、あらわにし、描き、われわれに自覚させ、気づかせ、また真の美しさを現出させる。(『メカスの映画日記』54頁-55頁, Movie Journal, pp.48-50)