N夫人との会話


アヤメ(文目/綾目, Siberian iris, Iris sanguinea


最近の朝の散歩では、植物や稀に昆虫の発色や配色(時間的変化も含めて)を観察して色の勉強をするつもりで写真を撮っているところがあって、勢い接写が多くなっているのだが、今朝、通りに面したあるお宅の庭のアヤメを傘をさしながらしゃがみ込んで接写していたら、突然そのお宅のN夫人がガラガラと玄関の引き戸(今時珍しい)を開けて出てくるなり、「あなた! そんな雨で萎れた花なんか撮ってないで、ふわーっと広がった綺麗なところを撮ってあげなさいな。一本切ってあげるから、持って行きなさい」と笑顔で言ってくれた。一瞬叱られるのかと思ったが、望外の申し出に感激した。しかし、晴れた日の朝にふわーっと綺麗に広がったところもちゃんと撮らせていただいていること、今度その写真をお持ちすること、雨の日の色合いや濡れて萎れた姿も美しいから撮っているのだということ、などを説明して、切り花をいただくことを丁重にお断りした。「なるほど、そうねえ。そういう見方もあるのねえ、、」彼女はかなり感心した様子だった。よしっ!