石狩灯台




アキグミ(秋茱萸, Japanese silverberry, Elaeagnus umbellata


ハマボウフウ(浜防風, Beach silvertop, Glehnia littoralis


もうこれが最後の機会かもしれないと不穏なことを言いながら、盛岡から60歳過ぎてから旅好きになったという叔父夫妻が兄弟の墓参りを兼ねて北海道にやって来た。札幌滞在中、叔父の弟が眠る石狩の茨戸霊園に墓参りをしてから、はまなすの丘公園が見たいという二人を妻と一緒にあの木下恵介監督の映画『喜びも悲しみも幾歳月』(昭和32年)のロケ地としても知られる石狩灯台のある半島の尖端まで案内した。茨戸霊園にも、はまなすの丘公園にも私たち以外には人はいなかった。ハマナスの花はすでに終わったと思っていたが、二、三、萎れた花が残っていた。よく目につく果実に優しく触れながら「これは結構いけるよ」と叔父は言った。二人はビジターセンターで映画にまつわる資料や、灯台の近くにたつ「喜びも悲しみも幾歳月」の碑を感慨深げに見ていた。海辺植物を観察しながら歩くことのできる遊歩道でアキグミ(秋茱萸)やハマボウフウ(浜防風)の果実を目敏く見つける好奇心おう盛な叔父夫妻の様子が微笑ましかった。帰路、イサム・ノグチ設計のモエレ沼公園に案内したが、小雨が降り始め、ガラスのピラミッドの中から外の風景を眺めるにとどまった。叔父はイサム・ノグチの父親はどんな人だったかをしきりに知りたがったが、私も知らなかった。その後夕飯時になり、二人の希望を受けて予約していたサッポロビール園のガーデングリルでジンギスカンを味わいながら、叔父が執筆、編集、出版まで自分でやり遂げつつある日本国内各地の旅から中国、東南アジア、シルクロードの旅までの記録をまとめた本のゲラ刷りを見せてもらいながら、各地の旅の話に花が咲いた。もしもう一度行けるものなら、中国の桂林に行きたいという叔母の言葉が印象に残った。本が完成したら一冊送ってもらうことを約束した。レストランを出て、駐車場に向かう途中にあった売店で目にとまった黒ビールソフトクリームを珍しいから話のタネにと買って四人で味見したが、無難な味で、インパクトに欠けた。盛岡にきっとおいで、という言葉を繰り返しながら、叔父夫妻は札幌を後にした。その後二人は湖が好きな叔母の希望で洞爺湖経由で盛岡に帰った。恒例らしい湖畔の打ち上げ花火に感激したというメールが届いた。