ジョナス・メカスの花(「誰もが皆、先に進みたがる。しかし、今は、後戻りするほうが、ずっと賢いと私は思う」2008年03月25日)
夢は一切の判断を許さぬ目覚めである(「二つのエピグラフ - Emmaus'」)
今朝早く見た夢が鮮やかな白い花の印象を目覚めてからもずっと残していた。下川さんが語るように、あるいはソローも語ったように、夢がより深い目覚め、リアリティであるならば、すなわち夢がこの現実の生の全体を照らし出す光源であるならば、そちらの方になんとか歩み寄るしかないのだろうなと思っていた。だが、どう歩み寄ったらいいのかよく分からなかった。その夢は、突然、ジョナス・メカスが自転車に乗って白い房状の花が沢山ついた小枝を手に笑顔でこちらに近づいて来るところから始まった。違和感を覚えた。メカスらしくない花だと感じた。「365日映画」で毎日映画の最後に映し出されたメカスのトレードマークのようなラフな花の絵(上)を思い出していた。何の花かは未だに分からない。故郷リトアニアで幼い頃に親しんだ野の花だろうと想像していた。夢の中でメカスは手に持った木の花を「ダイコンノハナ」と彼独特のちょっと濁った複雑で深い声色で言った。「違う」と私は思った。「それは大根の花ではない。木の花だ」と思ったが、言葉にならなかった。メカスが手にしている花は、沖家室島の松本昭司さんが出したクイズ「この木、なんの木?」で問題にした写真の白い花に似ていると思った。それが何の花かはまだ分からなかった。目覚めてしばらくしてからそれは「桐の花」であることを知った。「ダイコンノハナ」と「桐の花」は全く無関係なのか、それとも何かを暗示しているのか、、。おそらく、何の花かは問題ではないのだろう。それがとにかく花であることが問題なのだろう。そして花であるということの先にある何か。それが夢の中でジョナス・メカスが私に出した「クイズ」のような気がしている。「故郷」ということか、、。