桑の樹と糸車


苅谷さんの畑と藻岩神社境内の境界に生える西洋実桜(左)と桑(右)。根方ではほとんどくっついている。地下では双方の根は絡まり合っているのだろうか。


久しぶりに畑で苅谷さんの姿を見かけ、声をかける。もう20年、30年使っているという虫除け用のナイロンシートを洗って片付け終わったところだった。ナイロンが綿よりもいい理由を色々と話してくれた。ジャガイモの芽がようやく出たという。他に、枝豆、菜っ葉、トウモロコシなどはまずまずのようだ。苅谷さんの畑の上に枝を広げる西洋実桜の花もほとんど散った。毎年そこそこ実をつけるという。苅谷さんは桜の樹に桑の樹が「ひっついている」ことに気づいたかと聞く。たしかにひっついている。面白いもんだと言って苅谷さんは笑う。桑の樹は下手に剪定すると枝が妙な具合に生長するのだという。ひょっとして、と思って聞いたら、案の定、苅谷さんは昔、養蚕の経験もあるとのことだった。じゃあ、糸車もありましたか? 回しましたか? ああ、もちろん。そうか、糸車がカラカラ回る音や蚕や繭や絹糸の感触や輝きの記憶が苅谷さんにはあるのか、、。ガンジーの糸車(チャルカ)を連想する。それから、苅谷さんは背の高いハルニレの樹を指差して、あのアカダモってやつは、倒しておくと、キノコがよく生えると言う。ただし、日陰でなければならない。この辺りは日当りがいいから駄目だと言って笑った。何のキノコか聞くのを忘れた。



Gandhi spinning. Gujarati Handwriting: Mohandas Gandhi 19-12-1929.


参照