2011-03-04 彼のとりえ 詩 毎朝目覚めるたびに 人生を一からやりなおす男がいた 毎朝家を出るたびに 歩き方や口のきき方や世界の見方を 赤子のように学びなおす男がいた 死ぬ間際に彼は言った ぼくはぼくであるほかにはなににもならなかった 人間であることだけがぼくのとりえだった