国内外の映画やドキュメンタリーの作品(多くはVHS)をざっくりと分類していくつかの段ボール箱に詰めた「映像ライブラリー」をひっくり返してテオ・アンゲロプロスの作品を探した。ピーター・グリーナウェイやダニエル・シュミットやアンドレイ・タルコフスキーやアッバス・キアロスタミの作品に混じってアンゲロプロスのものが6本あった。6本しかなかったと言うべきか、、。映画館で観たものを入れて10本。彼の作品すべてを観ているわけではないし、特に最近の作品は観ていないので、熱心なファンとは言い難い。ちなみにそれらを古いものから順に並べると以下の通りである。赤字は「映像ライブラリー」にある6本である。
- 『旅芸人の記録』(1975年)
- 『アレクサンダー大王』(1980年)
- 『シテール島への船出』(1984年)
- 『蜂の旅人』(1986年)
- 『霧の中の風景(1988年)
- 『こうのとり、たちずさんで』(1991年)
- 『ユリシーズの瞳』(1995年)
- 『永遠と一日』(1998年)
- 『エレニの旅』(2004年)
- 『テオ・オン・テオ』(2004年)
学生の頃、映画館で『旅芸人の記録』(日本公開1979年)を見て感動して以来の断続的な付き合いである。最後の「テオ・オン・テオ」(2004年)はアンゲロプロスが自作について語る日本向けドキュメンタリーで、『旅芸人の記録』をはじめ彼の作品の日本語字幕を手掛けたことでも知られる作家の池澤夏樹がインタビュアーを務めている。何度見たか知れない。アンゲロプロスの冷厳な態度と鍛え抜かれた鋼のような声と明晰な語り口が非常に印象的なドキュメンタリーである。この世から生きたものとしては失われた彼の声に久しぶりに聞き入っていた。