藤の蔓にぶら下がった垂氷 冬木立 雪解け道 運転席窓ガラス。後方から来た車が追い抜き様にはねた雪のまじった泥水をかぶる。
「旅の話ほど詰まらんものはないよな」 「また始まった。へそ曲がりの屁理屈が」 「だって、今ここにいるだけでも、途方も無い旅の途上なんだから、ここではないどこかへ行くことなんて、高が知れているじゃないか」 「それは折り込み済みで、旅ってことでし…
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