私の廃品活用芸術活動その6

ほぼ1ヶ月ぶりの廃品活用芸術活動の記録。

連休初日4月28日ミズバショウを見に訪れた西岡公園で偶然拾って持ち帰ったイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides, Japanese hydrangea vine)の天然ドライ・フラワーをコーディネートというかデコレートというか、してみた。イワガラミはツルアジサイ(Hydrangea petiolaris, Climbing hydrangea)と酷似しているが、花びらに見える白い飾り花のつき方が、イワガラミは一枚ずつなのに対して、ツルアジサイは3〜4枚と違うことを知り、区別できるようになった。

妻と娘にはあきれられている「祭壇」だが、すっかり部屋に馴染んでしまっている。

キタコブシとハクモクレンの違い

札幌、晴れ。暖かい。

藻岩山。気温が上昇すると何かが原因となって藻岩山を包む空気が「濁る」のか、ややぼんやりとして見えた。

今朝は道端でオダマキではなく小さめのクルマバソウの宝石のような滴が目に留まった。

これも道端でタケノコが頭を出していた。

葉っぱばかりみていたせいか、こんな花が目に飛び込んでくると、色が目にしみる。

原生林の中に白い花をたくさん咲かせた老木を見つけた。

昨日は気づかなかった。キタコブシMagnolia praecocissima var. borealis)だった。遠くからだとハクモクレン(Magnolia denudata, Yulan magnolia)と区別するのが難しかったが、大分見慣れてきて、全体の雰囲気で区別できるようになった。控え目で繊細な印象を与えるのがキタコブシで、元気で押しが強そうなのがハクモクレン。実際に花を間近で見比べるとその違いははっきりとする。キタコブシの花は6枚の花びらが大きく、3枚の萼は小さく目立たず、横向きに広く開くのが特徴である。ハクモクレンは6枚の花びらと3枚の萼が形も大きさも同じで9枚の花びらが上向きに開くように見えるが、全開はしないのが特徴である。

以前に何度か「ハナニラ」と報告した花の本当の名前はまだ知れない。その花が咲いているのは、あの藁の巣壺のあるお宅の庭と畑だけである。空き地だと思っていたら、そのお宅の立派な畑だった。今朝、以前素壺談義を交わしたそこの若夫婦が畑を耕しているところに遭遇した。作業に夢中になっていたので、ちょっと躊躇したが、思い切ってその花のことを尋ねてみた。「さっぱり分かりません」が答えだった。彼らが植えたものではなく、そこに越してきたときには生えていた。可愛らしいのでそのままにしてある。そういうことだった。最後に「調べてみます」とご主人は明るくつけ加えてくれた。



サフラン公園にはなぜか公衆便所を囲むように三本のハクモクレンが植えられている。その香気が理由だろうか。昨日も今日も香りはしなかった。まだ早いのだろうか。

昨日オランダガラシ(クレソン, Nasturtium officinale, Watercress)ではないかと記録した極小の白い花はやっぱりセイヨウガラシ(Armoracia rusticana, horseradish)かな、それとも第三の何かかな、と惑い始めた。花の特徴からアブラナ科の仲間に入ることは間違いなさそうだ。家人によれば、葉の形が全く違うという。確かにクレソンの葉は丸く、私が見た葉は細長く縁が鋸状である。今日はスーパーに行って本物のクレソンを観察してこようと思っている。

藻岩中学校の校庭の端っこに一本だけ、ハーブっぽい植物がすくっと立っていて、目に留まった。

近所のお宅の庭に植えられたキタコブシ若木。昨日通りかかったときには、辺りにとてもいい香りが漂っていた。

キタコブシの花の特徴がよく分かる。

家々のテレビアンテナからアンテナへとムクドリ(Sturnus cineraceus, White-cheeked Starling)のカップルが遊ぶように飛び回っていた。

我が家から一番近い場所にある桜の木の花の蕾。膨らみ色づいてきた。もう少しで開花しそうだ。

Joseph Cornell @ UTOPIA Parkway:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、5月、123日目。


Day 123: Jonas Mekas
Thursday May. 3rd, 2007
9 min. 16 sec.

Anthology's film
archivists at work
& a trip to Joseph
Cornell
's house on
Utopia Parkway,
Queens, N.Y.

アンソロジー
フィルム・アーキヴィストたちの仕事風景。
そしてニューヨークのクィーンズ地区の
ユートピア大通りにある
ジョセフ・コーネルの家まで
ちょっと行って来た。

アンソロジー・フィルム・アーカイヴズの「国際的アナーキスト精神」について半分冗談半分真面目に語るメカス。それにジェスチャーをまじえてユーモラスに応じるオーグスト・ヴァルカリスと素性不明の女性。古いフッテージからの映像が挟まれる。ハリウッドに対抗する「独立映画のためのひとつの国家誕生」を宣言するメカスの声。その国家には白と水色の「国旗」がある。「戦意高揚」のためのトランペットを吹くメカス。

女性アーキヴィストが、フィルム収蔵庫で、ジョセフ・コーネルのフィルムが収蔵されている棚までメカスを先導する。全部で171巻あるというコーネルの映像。すべて平べったい円筒形の缶に入っている。その内、今日チェックする分、と言って積み上げてあった10缶ほどを持って、別室へ向かう。そこには男性アーキヴィストが控えている。作業の詳細は不明だが、フィルムの中身をチェックして瑕などを修復するのだろう。

メカスは戸外で、舗道の石畳の隙間から生える雑草をクローズアップする。アンソロジーの建物の正面入口が写る。右手にパンした先、建物二階部分の角から掲げられている「国旗」が写る。言われなければ、何の旗かは分からない。再びアンソロジーの建物の中。今度は書籍、雑誌収蔵庫で来訪者(ホイットニー美術館クリシー・アイリスさん)に応対する女性アーキヴィストの様子をとらえる。

明るい陽射しの中、比較的質素な家が立ち並ぶ住宅街を車でどこかへ向かうメカス。青々と葉を繁らせた巨きな街路樹が写る。徒歩で一軒の家に近づくメカス。木造白塗り二階建ての家。玄関前の階段に腰掛けて読書している女性がいる。メカスが彼女に声をかける。「こんにちは。この家のビデオを撮りたいんだけど、いいかな?」「もちろんよ。」「誰の家だったか知ってる?」「ええ、ジェームズ・コーネル(ジョセフ・コーネルの間違い。)よ。」「今は誰が住んでるの?もちろん、君か。」「彼はいつ死んだの?76年?」「74年。(72年の間違い。)」「それ以来多分私は三人目の家主だと思うわ。」

メカスはその家の裏に回ろうとしてカメラをそちらに向ける。「何も残ってないわ。」「分かってるよ。」彼女とメカスと同行者二人は家の裏に向かう。「今は木があるでしょう?当時のものは何もないわ。」「ここには大きな樹があったんだけど、なくなったわ。」「家の中に入らせてはもらえないかな?」「母親が調子が悪くて休んでるの。」「わかった。」「彼が仕事をした地下室は地下室のままよ。」「そうか。」「通りを渡ってこの樹を眺めることにするよ。」メカスは通りの反対側から、かつてのジョセフ・コーネルの家をしみじみと捉え続ける。

近所のガレージ・セールを覗くメカス。品物を見て回り、住人と会話する。二人の天使像の置物がクローズアップされる。最後に、"UTOPIA PKWY"(ユートピア・パークウェイ)の標識がクローズアップされ、かつてのジョセフ・コーネルの家がクローズアップされる。

***

ジョセフ・コーネル(Joseph Cornell, 1903-1972) は日本でも、マルセル・デュシャンと並んで、そのアッサンブラージュ作品でよく知られている。*1

The Joseph Cornell Box

The Joseph Cornell Box

ジョセフ・コーネルは、シュールレアリズムの影響を強く受けたアメリカの芸術家、彫刻家であると同時に、スタン・ブラッケージ(Stan Brakhage, 1933-2003)との共作をはじめとして、多くの実験映画も制作した前衛的実験的映像作家としても知られる。*2

また、彼は同時代のアーティストたちとは一線を画すような生活を送ったことでも有名である。彼はニューヨークはニューヨークでも、クィーンズの労働者階級地区のユートピア大通りに面した木造の家で、母親と脳性麻痺の弟、ロバートと一緒に生涯暮らした。その家の地下室が彼の仕事場だったという。その地下室は「地下室工房」と異名をとり、多くのアーティストがそこを詣でたと伝えられる。

野心を抱いたアーティストたちが大勢集う場所にではなく、普通に働く人々が住む町に、母親と重い障害を背負った弟とともに暮らしながら、地下室で作品を作り続けたジョセフ・コーネル。メカスがちょっと行って来たというジョセフ・コーネルの家には、少なくともメカスにとっては、そんなジョセフ・コーネルの筋金入りのシュールレアリズムの魂の面影が色濃く残っているのに違いない。それにしても、「ユートピア・パークウェイ」という通りの名前が非常に印象的である。偶然その通りに面した家に住んだとは思えない。

*1:川村記念美術館には14作品のコレクションが常設展示されている。

*2:YouTubeに関連ビデオがアップされている。Joseph Cornell - Rose Hobart (1936)Stan Brakhage & Mary Beth Reed - Garden Path (2001)