はてな社長近藤淳也さん

はてな近藤淳也さんの本を推薦します。

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

私が数あるブログのうち直観で選んで今も使っているこのブログ(はてなダイアリー)も「はてな」の一サービスですが、梅田さんが『ウェブ進化論』の終章で熱く紹介している「はてな」社長の近藤さんは、日本人には稀有な肯定的な世界観、ビジョンの持ち主であると同時に根性もある人で、CNET Japanに昨年9月から11月にかけて連載されていたブログからも彼の人となり(高い格と大きな器)はよく伝わってきます。
http://blog.japan.cnet.com/kondo/archives/002466.html
特に彼の「インターネットの真の可能性」、「インターネットの善の部分」に賭ける気概には深く共感します。上の記事の中の次のような言葉は特に若い人たちにとって大きな励みにもなると思います。

この10年間、いつもインターネットの進化の一端を「コミュニケーションの進化」が担い続けていた気がします。それに比べるとOSや表計算ソフト、ブラウザなどの機能は驚くほど変化していないのではないでしょうか。
これは何故なんでしょう。きっとそれは人類がこれまで一度も試したことが無かった「人間の意識と意識が距離や時間を越えて繋がった時に何ができるのか」という可能性についての、壮大な社会実験が行われているからだと思います。
紙と鉛筆で計算していたものが少し速くなったりする進化は既にこれまでも十分に工夫されてきました。ところが、1000km離れた複数の相手と無料でどれだけでも意思疎通ができたらどんな事ができるか、という可能性についてはこれまでほとんど試されていなかったはずです。インターネットによってこうした可能性が一気に拓かれ、意識と意識、知恵と知恵を結んだ人間同士が新たな価値の創出を模索している、そういう風に感じています。
最近「Web2.0」という言葉がもてはやされていますが、その中にある本質も「オープン性の価値を正しく認識しよう」という事だと感じています。データは自社サービスに閉じるのではなくてインターネット上に公開したほうが良い、とか、APIを公開してさまざまなユーザーがアプリケーション開発に参加できるようにした方が良い、といったオープンな考え方の有効性が徐々に証明されつつあり、それを前提としてビジネスを展開しよう、という動きに思えます。
見方を変えるとこの動きは、「常識を捨てよ」という風にも見て取れます。「そういうものは普通社外秘にするものだ」とか、「そんなことをして何か起こったらどうするんだ」といった常識的考えを一度捨てて、本当に有効な方法は何なのかを真っ白な頭で一度考えましょうよ、という動きではないかと思うのです。
インターネットで今まで繋ごうにも繋ぐことができなかった人々の意識が一気に繋がってしまったために、一度頭を白紙に戻さないと対応できないよ、というスローガンのように思えます。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」とアインシュタインが言ったそうですが、これは本当にその通りだと思います。昔は常識なんてまるでなかった頃が誰にもあったわけです。
小学生同士が野球で遊ぶ時に、「生産者と消費者」とか、「上司と部下」とか、「ルールを作る人と守る人」と言った非対称な関係はありません。生産者だけが情報を知っていて消費者には知らされない、といったこともありません。誰もがルールを作る人であり、それを守る人であり、メーカーであり消費者であり、命令する人でありされる人であるという中で、楽しさの最大化を図る創造的な行為が子供の遊びだと思います。
こういう子どものこころ、遊びのこころを持つことは、インターネットがもたらす変化に対する最大の防御であり、最大の攻撃手段ではないかと思います。

長々と引用してしまいましたが、こんなに大きな視野と柔軟で新鮮な発想をビジネスに結びつける若者が出現していること自体が、実は彼のいう「インターネットがもたらす変化」そのものであり、そして「これから始まる本当の大変化」の序曲なのだと思います。