I'm a realist anyway:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、12日目。


Day 12: Jonas Mekas

Friday Jan. 12th, 2007 6 min. 18 sec.

I do not feel
like doing anything
today. I want to
listen to music.

365日毎日1本映画を公開する企画は12日目にして頓挫したかに見える。メカス当人も半ば絶望して申し訳なさそうな表情を浮かべ、でもどうしようもない、でもでも、何もしないわけにはいかない、そんな苦しい自分を曝け出している。しかしそうではない。メカスの映画(Films)、それは人生の本当の(real)記録としての映画、人生そのものとしての映画である。「今日は何もする気がしない。音楽を聴いていたい」という言い訳に聞こえるかもしれない独白をするメカスの一種のビデオ・メッセージは、当初の企画の貫徹を期待する者をある意味で見事に裏切ることによって、正しく人生のリアルな記録、365本のうちの立派な1本になりえている。企画のために人生があるのではない。人生そのものがいつもこの上ないプランなのだから。「私は夢想家(dreamer)ではい。私はやはり現実主義者(realist)だ」という言葉が印象的である。奥深く繊細なリアリズム。それにしても、こうして収録から一日も置かずに、現在の生身のメカスの複雑に揺らぎ屈折した肉声と表情に触れることができる、そのことが嬉しい。インターネットのお陰である。