正体不明の小鳥(つづき1)

昨日、正体不明の小鳥について記録した。

突然、初めて聞く高くか細い鳴き声がした。鳴き声の方角に目を凝らすも、姿が見えない。すると視界に木肌を舐めるように移動する非常に小さな動物が入った。一瞬リスかな、と思った次の瞬間、それは重力を無視するような曲芸飛行で飛び立った。サイズは雀の半分以下、おそらく体長5cmくらいで体型は細身の印象だった。その動きからカワセミを連想した。

逆光の中で色や斑もちゃんと識別できなかったので調べても無駄だと思っていたのだが、思い直して、『フィールドガイド 日本の野鳥』(日本野鳥の会)でしらみつぶし的に調べてみた。「しらみつぶし」といっても、体長と体型と斑の特徴を捉えたイラストによる分類ページのお陰で、全部で539種の内からすぐに2種に絞り込めた。ゴジュウカラ(Nuthatch)とキバシリ(Treecreeper)である。両者ともに高い声でさえずり、北海道では低地の林にもいて、なんと樹の幹に縦にとまり、ゴジュウカラの方は逆さになったり、太い横枝の下側を歩いたりする。一方、キバシリは逆さになることはないが、餌を探しながら螺旋状に上り、隣の樹の根元に飛び移って再び螺旋状に上るということを続ける、という。私が見た鳥は逆さになっていたので、この限りではゴジュウカラと思われる。色に関しては、ゴジュウカラは上面は青灰色、キバシリは茶褐色である。

昨日の印象記録はかなり当てにならないものだということがだんだん分かってきた。そのなかでも「体長5cm」というのは大きな勘違いのようだ。スズメよりかなり小さい印象をもったが、スズメはいつも比較的間近に見るのに対して、昨日見た鳥が不思議な動きをしていた樹までの距離は10m以上はあったし、見上げる高さだった。したがって、体長はスズメと大差ないと判断したほうが良さそうだ。ちなみに『フィールドガイド 日本の野鳥』ではスズメの体長は14.5cm、ゴジュウカラとキバシリは13.5cmとある。また、「その動きからカワセミを連想した」も不正確で、カワセミ(Kingfisher)のように空中に停止するような動きはなかったし、そもそも冬の北海道にカワセミはいないらしい。

そういうわけで、昨日私が目撃した小鳥はゴジュウカラ、それも北海道に生息する亜種のシロゴジュウカラのようだ。しかし、すっきりしないところがある。『フィールドガイド 日本の野鳥』のイラストや上のリンク先の写真をみる限り、体型や色はキバシリに近いという感覚がぬぐい去れないのだ。もしかしたら、最初に2種に絞り込むのが誤りだった可能性がある。「第三の候補」を見逃しているのかもしれない。とにかく再会して、同定可能な写真を撮りたい。

なお、写真と日本語のリンク先のすべては、大津在住の村岡さん運営のEnjoy Wild Birdsの「野鳥図鑑」である。ちょくちょくお世話になっている。