シメHawfinchに出会う


札幌、霙(みぞれ)まじりの雨。強風。轟音。気温は高く根雪はさらに解け、道はシャーベット状態。

藻岩山が陰鬱に見える。また一カ所だけ外灯が灯っていた。一瞬、朝だということを忘れる。

タンポポ公園のエゾノコリンゴにカラフルで肥えた小鳥が一羽しずかに佇んでいた。

数メートルの距離からカメラを向けても、逃げない。明らかにこちらには気づいていて、ちらちら見られている。体型といい、色といい、嘴の形といい、これだけはっきりと特徴が分かれば、すぐに同定できるだろう、と思いながら、帰宅後すぐに『フィールドガイド 日本の野鳥』(日本野鳥の会asin:4931150136で調べた。「調べた」のプロセスは、昨日書いたように、まず、冒頭の見開きを使った「この本に載っている鳥」をスキャンするように眺める。これは、全部で593種掲載されている鳥を80余りの「科」レベルの分類をもとに、各科の代表的な種の鳥の特徴を巧くとらえた美しいイラストが、類似性にもとづいて、小さな鳥の絵の「雲」のような一覧になっている。それは見事な絵による分類で、タグクラウドならぬ、バードクラウズ(bird clouds)になっている。ちなみに、私が愛用するこのフィールドガイドは英文版"A Field Guide to the Birds of Japan"asin:0870117467も出版されていて海外でも高い評価を得ているらしいが、このフィールドガイド形式のルーツは、アメリカの鳥類画家ロジャー・トリー・ピーターソン(Roger Tory Peterson)著"Field Guide to the Birds"(1934)である。

今回は迷わずアトリ科ひとつに絞り込めたし、特徴的な嘴と色ですぐに1種に同定できた。シメHawfinchという。volvo13さんも書かれているように、「漢字では蝋嘴あるいは蝋嘴鳥と書く。太い蝋のような嘴が名の由来であろうが、シメと読ませるのはまったくの当て字であり、シメ自体の意味はわからない。」

これは強風で千切れて落ちたらしい蔓の一部。雪の上で「アート」に見えた。拾ってきた。