Afro Polyrhythm, Menard Nponda & Nakai Natema:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、3月、76日目。


Day 76: Jonas Mekas
Saturday March. 17th, 2007
5 min. 56 sec.

Menard Nponda
from Tansania &
Nakai Natema from
Zimbabwe drum and
dance and have
geat time in Tampere.
Finland.

タンザニア出身の
メナード・ンポンダと
ジンバブエ出身の
ナカイ・ナテマの
太鼓、そして踊り。
フィンランド
タンペレでの
素晴らしいひと時。

フィンランドタンペレ映画祭での一コマ。タンペレ映画祭では、公式サイトにも書かれているように、短編映画の上映、コンペの他にも、各種セミナーや展示やコンサート、そしてクラブナイトも開催される。

今日のフィルムは、今年の最大のテーマ・プログラムである「Focus on Black Africa」にちなんで、アフリカ出身の二人のドラマーによる演奏が目玉のクラブナイトでのワン・シーンのようだ。メナード・ヌポンダ(Menard Nponda)もナカイ・ナテマ(Nakai Natema)も、少なくとも英語と日本語ではウェブ検索にはひっかからないが、そこがまたいい。ある意味では「無名」だが、きっと知る人ぞ知るドラマーに違いない。

実際に凄いテクニックと深いソウルを感じさせる演奏で、会場の若い娘たちが、身体の、脳の奥で反応しているのが分かるような複雑な動きのダンスを始める。ステージに上がって踊り出す娘もいる。もちろんメロディーのない、二人のビートのリズムだけの、でも非常に複雑なリズムの絡み合いが、時間を止めるかのような、時間の刻み方をする。

3月6日のペーター・クーベルカによるチベット・ゴングの演奏が空間全体を不思議な波動で徐々に深く満たす類いの音楽だとすれば、ンポンダとナテマのドラミングは空間に潜んでいた幾つもの「玉」、というか時間を叩き出すかのような音楽であると、言えるだろうか。音楽のルーツに関心のあるミュージシャンの多くはアフリカの伝統音楽に接近するようだが、アフリカのミュージシャンは生まれつきのように根源的な音の姿とごく自然に共に生きているのを感じさせる。途中からステージに上り踊り出したアフリカ系の娘の演奏に共振した身体の動きは、「人間業」とは思えないほど複雑で、しかも「生命力」に溢れている。

アフリカの音楽といえば、2月14日に、西アフリカのマリ共和国出身の若きグリーオ(griot:詩人)であり、トーキングドラムの名手バイェ・クヤト(Baye Kouyate)も登場した。今日の二人は東アフリカ、中南アフリカ出身だが、同じアフリカでも使う楽器の種類や音楽性には違いがあるようだ。そのあたりについては、ここAfroPolyが非常に参考になる。アフリカ各地の土着音楽の基本、「素朴でありながら構造は複雑、サウンドは心地よく、グルーヴしている」(坪口昌恭)を貴重な音源を聴きながら知ることができる。少なくとも、アフリカ音楽=太鼓のリズムという単純なイメージは誤りで、もっとずっと多彩である。東アフリカに関しては、YouTubeタンザニアで活躍中の「キアドゥ伝統アフリカ音楽団」紹介ビデオがアップされている。
http://www.youtube.com/watch?v=FKgGYGDUVlA