subway singer@Union Square：365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、3月、86日目。

Day 86: Jonas Mekas
Tuesday March. 27th, 2007
7 min. 20 sec.

I taped this at the
Union Square
Canarsie Line stop.
I was taken by the
absolute beautiful
innocense*1 of the
subway singer --

これは
ニューヨーク市地下鉄
カナーシー線の
ユニオン・スクウェア駅で
撮影した。
とびきり美しく
無垢なサブウェイ・シンガーから
目が離せなかった。

ロンドンの地下鉄では、駅で演奏するにはオーディションにパスしなければならないほどになった、バスカーミュージックが一種のカルチャーとして脚光を浴びると同時にどこか去勢されたように感じられるのに対して、メカスが心奪われたニューヨークの地下鉄歌手の世界は、もっとずっとアンダーグラウンドな感じで、ほとんどの通行人や電車の乗降客は無視する世界だが、しかし、それは逆にそこに住む人たちの無意識になっているということでもあって、その意味では生活における「音楽」というものの根深さは、その土壌の豊かさは、ロンドンの比ではないような気がする。

プラットフォームでギター一本で歌う青年も、電車内でメロディオン（ピアニカ）を演奏している成年も、ことさら「音楽」をやっているという風ではなく、たまたまそうやって生きている、という感じが強くする。メカスがそれを「とびきり美しい無垢(the absolute beautiful innocence)」と表現した感覚はよく分かる気がする。