島尾ミホさんが亡くなった

島尾ミホさんが亡くなったことを、Emmausさんのエントリー「島尾ミホさん訃報」で知った。

昨年10月に、ミホさんに会えるかもしれないと荒唐無稽な想像をしながら、奄美大島の名瀬の市内を彷徨っていたことを思い出していた。
2006-10-10 「奄美の精霊の悪戯:奄美自由大学体験記1」

ソクーロフ監督の『ドルチェ---優しく』のミホさんの姿が浮かぶ。まだ見ぬ『島ノ唄』でも吉増剛造さんと対話する姿が写っているはずだ。島尾敏雄さんの人間の実存と世界の構造をつなぐ深い眼が紡ぎだした文学世界とその「裏地」ような島尾ミホさんのスピリットは、息子さんの写真家島尾伸三さん、そして孫の漫画家のしまおまほさんに不思議な形で継承されているのを感じて来た。昨日、偶然、ある雑誌でしまおまほさんが愛猫を紹介する記事を読んだばかりだった。Emmausさんがリンクなさっている新聞報道を見る限り、島尾ミホさんは自宅で亡くなられたそうだ。

今福龍太さんが「浦巡りの旅へ」で非常に精確に跡づけている心の地図を、私もまたこの身を加計呂麻島に運んで、「浦見=恨み」と声に出しながら心に刺青したい。こんな哀悼の意の表し方しかできない。