クルマバソウかノボリフジか

札幌、晴れ。暖かい。

藻岩山。山裾から濃い緑が広がってきた。

道端の苔(moss)が目に留まる。美しいと感じた。コケと言っても、ゼニゴケとスギゴケしか知らないが、これはスギゴケの仲間だろうか。コケは専門的にはセンタイ類(蘚苔類, Bryophyta)と呼ばれ、世界中では2万種以上、日本でも1600種以上記録されているという。目立たないので植物の世界では日陰者だが、日本庭園、盆栽、「君が代」の中では活躍している。コケの世界は意外と深そうで面白そうだ。

カタクリ(Erythronium japonicum, Katakuri)の花は不思議な印象を受ける。どこが不思議なのかはよく分からないが、ふと、折り紙を連想した。傍に福寿草が写っていた。今まで見かけた福寿草エゾエンゴサク、そしてカタクリスプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)の代表であるが、その一つの大きな特徴は虫媒花であることだ。そしてそれは昆虫との共進化(Co-evolution)を強く示唆するもので、大変興味深い。特にカタクリの花は、その大きさといい形といい、不思議な印象を受けたのには、受粉をマルハナバチの新女王蜂に依存しているらしいことと関係があるような気がする。

道端でこんな葉に目が止まる。名前は知らない。

近所のキタコブシ(北辛夷, Magnolia kobus)花がひとつだけ開いていた。北大植物園の説明によれば、「アイヌの人々はこの木をふだん『いい香りを出す木(オマウクシニ)』と呼んでいますが、伝染病が流行しているときには病魔も香りに惹かれてやってくるおそれがあると考え、『放屁(オナラ)をする木(オプケニ)』とわざと名前を変えて呼んだそうです。ふだんはこの木の皮や枝を煎じてお茶のように盛んに飲んだといいます。」

昨晩、名前が判明した(と思った)クルマバソウ(Asperula odorata L., Sweet Woodruff)を道端ではなく、あるお宅の庭の隅に発見した。クルマバソウは小型の白い可憐な花を咲かせるようだ。5月中旬以降が開花時期で、今から花を見るのが楽しみだ。そのラテン語名"odorata"(「芳香のある」)が示すように、乾燥すると強い甘い香りがするらしい。その香りの成分はクマリン(coumarin)で、あの桜餅の桜の葉の香りと同じらしい。ドイツでは、ワイン(May wine)などの香り付けに使われているという。これは是非その香りを体験してみよう。*1

同じ庭に自然の悪戯を発見した。

近所の桜の木の芽は大分膨らんできた。

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午後から山間を探索した。渓流に沿った一本道を行き止まりまで行った。

「布袋神社」という神社があった。オモイカネ(八意思兼神)を祀っているらしい。その隣にごく普通の民家があり、そこの住人らしき人が、神社の掃除をしていた。

神社のそばには、こんな注意書きの看板が立っていた。さもありなん、という雰囲気だった。我が家から車で15分くらい。凄くワイルドなところに住んでいるように誤解されそうだな。

*1:昨日のコメント欄に、rairakku6さんとmmpoloさんが、この葉はルピナス(ノボリフジ)ではないかと知らせてくださった。そっくりだった。花はまったく違うので、開花が楽しみだ。どっちだろうか。