a monumental beautiful event by Richard Serra @MoMA:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、6月、153日目。


Day 153: Jonas Mekas
Saturday June 2nd, 2007
9 min. 03 sec.

Richard Serra's
exposition opens
at MOMA
a monumental
beautiful event---

リチャード・セラの
記念碑的な美しい出来事
のような展示が
MoMA
始まった…

MoMAでの展示「Richard Serra Sculpture: Forty Years」の一般公開は6月3日から9月10日まで。それに先立つ6月1日に催されたメンバー向けのオープニング・イベントを訪れた際の模様らしい。

終始作曲家も作品名も思い出せないシンフォニーがサウンド・トラックとして使われている。(リヒャルト・シュトラウスかな?違うかな?どなたかご存知の方、教えていただければ幸いです。)現場の生の音声は、展示を一巡りした後に、リチャード・セラと出会って言葉を交わすごく短い場面のみ。「これは、いい!信じられない!」とセラの肩を叩きながら褒めるメカス。「何か言うことない?」と促すメカスに、笑顔のセラはひと言「ハピー、ベン」と意味深な言葉を返す。ベン・ノースオーバーが一瞬写る。

鉄や鉛の巨大なインスタレーション的作品で有名な、彫刻の定義を深化させ拡張させた恐るべき彫刻家と評されるリチャード・セラの作品や経歴に関する最低限の客観的情報を得るためには、Wikipediaの項目Richard Serraに目を通すのがよい。また今回の展示「Richard Serra Sculpture: Forty Years」の概要と意義については、MoMA公式サイトの「Exhibition | 2007」に要を得たコンパクトな解説がある。

それによれば、Richard Serra Sculpture: Forty Years展は、そのタイトル通り、セラの40年間のキャリアを一望できるという趣向である。60年代初期の作品から、近年の「記念碑的なmonumental」作品、そして未公開の新作が三つ展示されている。有名な Intersection II (1992) とTorqued Ellipse IV (1999)はAbby Aldrich Rockefeller Sculpture Gardenの方でインスタレートされた。その模様がYouTubeのビデオで紹介されている。

さらにセラの彫刻家としての経歴と本人の考え方をもう少し踏み込んで知るには、5月20日ニューヨーク・タイムズThe New York Times)のインタビュー記事Sculpture (and Nerves) of Steelなどが参考になる。

メカスがセラの作品に共感するのは、その現代文明を批評する大胆な手法だと思う。素材を現代文明、産業社会を物質的に支える工業素材に求め、インスタレーションの場所を現代文明の最先端を走るような都市に定め、そして科学的美学的に計算され尽くしたかのようなスケールと見事な形態の作品によって、都市文明化、産業化された意識に対して強烈なアイロニーを突きつけると同時に作品自体を一種の深い穴と化す。