論理学入門2007 第7回 復習:公理系と意味論

受講生の皆さん、今晩は。

今回は、命題論理の体系、公理系をおさらいしてから、一気に加速して、意味論に案内しました。『入門!論理学』の枠を超えて、四つの記号も使いましたが、大丈夫でしたよね。なかなかクールだったでしょう?意味論の「意味」とは「真理値」、つまり「真」と「偽」の二つの値でした。命題論理では、どんな命題も、真か偽か、いずれかの値をとる、それ以外はありえないという立場に立っているのでした(二値論理)。

そんな立場に立って、公理系の公理である、否定・連言・選言・条件法のそれぞれを、「真理関数」としてどのように意味付けるのかということを一通り見たわけでした。ここでも『入門!論理学』の枠を超えて、真を1、偽を0と置き換えて、否定・連言・選言・条件法のそれぞれがどのような値をとるかを「計算」してもらいました。コンピュータの「論理回路」との関連も垣間見えたと思います。そして最後にド・モルガンの法則を意味論的、真理関数的に確認しました。おお、論理学やっているぞ、という気分になったと思います。

こうして、私たちは命題論理の形式的側面(公理系)と内容的側面(意味論)を学び、その全体像をともかくもなぞったわけです。それは、ひと言で言えば、静的で完結した体系、でした。そこで、例えば、生命系のような、動的で開放的な体系もある、というか、本来、体系とは、どちらかと言えばそのような体系であるということにも目を向けながら、命題論理というひとつの究極的な体系の姿を再確認したわけです。そして、論理学から数学の世界に一歩足を踏み入れた途端に、ゲーデルさんが示した公理系の破綻(はたん)のイメージもなんとなくつかめたのではないかと思います。

次回は、命題論理を一回り大きくしたような述語論理の世界に案内します。今まで「命題」と呼んできたものをもう少しクローズアップしたときに見えてくる「型」、「形式」を学びます。そして、そもそもどうしてそのような述語論理が要請されなければならないのか、という辺りにまで行ければ、と思っています。講義の骨子等は来週改めてお知らせします。