sad and beautiful sugarburgs:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、6月、161日目。


Day 161: Jonas Mekas
Sunday June 10th, 2007
5 min. 50 sec.

At the Grand Ferry
Park
, Willamsburg,
Brooklyn, a Don't
Demolish Domino
rallt
is taking place
with The Black Tie Party
& Hungry March
Band

ブルックリンの
ウィリアムズバーグにある
グランド・フェリー公園で
ドミノ取り壊し反対集会が
催される。
黒ネクタイ党
とハングリー・マーチバンドも
参加する。

川向こうにマンハッタンの煌めく高層ビル群を望む、こちら側、ブルックリンの北のウォーターフロント、臨海部にあるグランド・フェリー公園。公園といってもただの更地に見える敷地。イーストリバーに面した空き地といった風情だ。内陸側にはいかにも古めかしい低層の工場のようなくすんだ建物ばかりが建っている。ドラムにギターにベースの三人組のアマチュアのロックバンドの演奏が大音量で流れる。黒ネクタイ党(The Black Tie Party)なるジョージア大学の学生有志からなるボランティア組織のメンバーのようだ。

ハングリー・マーチバンドの演奏。なかなかユニークなメンバー構成だ。そのユニークさは公式サイトからも十分に窺える。最初は行進しながらのマーチの演奏。次は立ち止まってジャズの演奏。そして三曲目は再び行進曲。地元の住民らしき人々がかなりの数つめかけている。パンフレットが用意されたデスクとボードのコーナーが設けられていて、男性と女性のスタッフがいる。「ドミノ砂糖精製所はニューヨーク市で最も重要な臨海工業地域である」という印刷物の見出しを写した映像が重ねられる。

時も場所も違う、雨の日のウォーターフロント。車のフロントガラス越しにドミノ砂糖精製所のいくつかの建物が捉えられる。メカスの呟くようなナレーションが入る。「悲しいもんだ。われわれ移民はこのドラゴンのような砂糖の街の浮き沈み、骨折りを見てきた。だが、今や醜い姿を晒している。おまえは悲しげだ。お前は美しい。……。われわれの祖国すべてよ、われわれは幸運に恵まれた、このくすんだ街(drab burgs)で。」


前半のグランド・フェリー公園での集会は、ブルックリンのグリーンポイント(Greenpoint)とウィリアムズバーグ(Willamsburg)の住民たちによる草の根組織であるWPA(Waterfront Preservation Aliance)が主催する歴史的建造物取り壊し反対集会のようだ。ドミノ(Domino)とはドミノ砂糖精製工場のことだが、現存するドミノは、1884年に建設された二つの工場と、1920年代から1930年代と1950年代から1960年代に建てられたかなりの数の建物とからなるコンプレックスである。すでに取り壊された関連建物もあるという。WPAが取り壊し反対を主張する建物は他にも沢山あるが、中でも目をひいたのは、エバーハード・ファーバー鉛筆工場(the Eberhard Faber Pencil Factory)だ。というのも、4月21日に登場したポーラ・チャペル(Pola Chapelle)が語ったホボーケン・トリオ(the Hoboken Trio)のピート(Pete Galastro)とシビー(Sibby Galastro)の兄弟が働いていたのがその鉛筆工場だった。