ジョナス・メカスによる365日映画、9月、258日目。
Day 258: Jonas Mekas
Saturday, September 15th, 2007
9:57 min.
Maxi, sweet Maxi,
Anthology's cat,
she is sick , Maxi ---
マキシ、可愛いマキシ、
アンソロジーの猫、
彼女は病気だ、マキシ…
目を瞑りカーペットの床に横たわったまま死んだように動かない猫の映像。カメラは床に置いてあるようだ。
メカスのナレーションが入る。「今日、アンソロジーに来た時、マキシの状態が非常に悪いと聞かされた。非常に悪い…。彼女がストリートからアンソロジーにやって来たのは本当に小さい頃だった。そして居着いた。」動かないマキシの全身を優しく摩るメカス。「マキシーーー」とメカスは優しく声をかけるが、マキシに目に見える反応はない。「んーーー」。
マキシの顔がクローズアップされる。「マキシ」とメカス。すると目を瞑ったままのマキシが頭を少しもたげたが、またすぐにもとの状態に戻る。メカスに男性スタッフの声がかかる。「聞いたかい。彼女はもう目も見えない。物も食べられないんだ。」そうか、可哀想に、という風にメカスはまたマキシの全身を何度も何度も優しく摩る。「マキシをしばらく見なかったろう」とそのスタッフ。メカスがしばらくアンソロジーを離れてヨーロッパ旅行中にマキシは病気になったようだ。「マキシ」と囁くメカス。そのスタッフはメカスが留守中に進んだ仕事の話をするが、メカスはそれどころではないという風に、再びマキシの全身を撫でる。
「数年前にもどる」というキャプションが入る。
マキシが元気な頃のアンソロジーでの「日常」の映像。撮影者はおそらく後に登場するオーグスト・バルカリス。メカスがアンソロジーの正面玄関を入ってくるところから撮影している。「出勤」してきたメカスは、近寄ってきたマキシに「おはよう、マキシ」と声を掛けながら、背中を撫でる。奥のオフィスに消えたメカスを後をマキシは追う。
場面は替わり、今度はメカスがオーグストを撮影した映像。オーグストはマキシの朝ご飯を用意している。デスクの上で御飯茶碗に見える器に缶詰のキャット・フードを丁寧に開けている。それをデスクの片隅に座って大人しく待っているマキシ。
場面は替わり、オーグストとメカスは畏友の名を挙げながら、乾杯している。「ペーター・クーベルカ、ヘルマン・ニッチ、ライムント・アブラハムも」とオーグスト。「ライムント、ヘルマン、そしてピーター、P・アダムズ・シトニー、多分ブラッケージも」とメカス。「た、多分?」と戸惑うオーグスト。「マイケル・スノーにも。みんなどこにいる。そうだ、ケン・ジェイコブズ!」とメカス。「エトセトラ、エトセトラ」とオーグスト。「どこにいる、みんな?」とメカス。
時は過ぎ、人生は続く…。