「蝦夷富士」詣で:「蝦夷地」巡礼報告2


(「蝦夷富士」こと羊蹄山に立ち向かう中山さん)

9月18日、「蝦夷地」巡礼二日目。

中山さん(id:taknakayama)は午前中に札幌市街をお一人で探訪なさった。「現代の札幌」をどう切り取られたか、お写真を拝見するのが楽しみである。

午前11時に地下鉄南北線の南の終着駅、真駒内で落ち合い、札幌南部の私のいわば「テリトリー」を一通りご案内した。札幌軟石採掘場跡、藻南橋から見る豊平川、藻岩山の麓、中の沢の奥、小林峠、盤渓峠(ばんけい峠のワイナリーではご主人にお会いできなかったが)、そして藻岩山山頂。晴天の下、山頂展望台からは札幌の市街地をほぼ丸ごと鳥瞰でき、石狩川の河口付近、石狩湾の境界線もかすかに見えた。昼食は展望レストランで札幌市を俯瞰しながら、中山さんはスープ・カレーを、私はシーフード・カレーを注文した。「北石狩衛生センターが見えましたね」という中山さんの言葉が印象的だった。

藻岩山を後にした私たちは南西に進路をとった。豊平川を遡るように南下した。小金湯(こがねゆ)温泉郷に立ち寄り、定山渓(じょうざんけい)温泉郷を通過し、そして中山峠を越えた。黄金湯温泉旅館はちょうど解体中だった。あの桂の大樹は金色に輝いていた。その根元に祀られる小さな地蔵たちに向き合う中山さんの姿が印象的だった。中山峠はあいにく雲のなかで、蝦夷富士こと羊蹄山(ようていざん)は見えなかった。峠を下り、山麓に近づくにつれ、羊蹄山はすこしずつその「富士の」姿を現したが、山頂の雲は消えなかった。麓の町、京極町(きょうごくちょう)で羊蹄山の湧き水が吹き出る場所を訪ねて、その湧き水を飲むという、その日の象徴的な目的を果たしてから、神話的関係を結ぶ羊蹄山と尻別岳(しりべつだけ)の間を抜け、裏側から洞爺湖畔に入って、湖岸道を有珠山(うすざん)西山近辺まで走り、2000年の西山火口群の噴火によって埋もれた国道230号線の代わりに開通した「国道230号有珠新ルート」を通って太平洋岸の虻田町(あぶたちょう)へ抜けた。真新しい三豊トンネル、青葉トンネルの二本の長い、ともに2kmくらいの、トンネルが印象的だった。

当初の計画では洞爺湖(とうやこ)からオロフレ峠を越えて登別(のぼりべつ)温泉に出る予定だったが、雨のなか、日もすっかり落ちたので、予定を変更して、虻田町に出てから、虻田洞爺湖ICから高速道路で一気に登別温泉へ向かった。宿の夕食は8時まで。なんとか7時前には宿に到着し、一風呂浴びて、夕食にもありつけた。

この日は中山峠を越えて札幌のある石狩(いしかり)とは異質な景観が広がる後志(しりべし)、特に羊蹄山の姿形とそこから湧き出る水を中山さんに味わってもらうことが目的だった。毎日、本物の富士山を見ている中山さんの目に蝦夷富士はどう映ったか。頂上まで見えなかったのが非常に残念ではあった。道々、撮影のため何度か停車したおり、巨大に迫って見える羊蹄山に独り立ち向かうかのようにファインダーを覗く中山さんの姿はまるでハンターのようだった。

  • 蝦夷富士」詣で(02:43)


  • 京極町「ふきだし公園」で湧き水を飲む中山さん(00:32)