中山さんと二風谷を訪ねる:「蝦夷地」巡礼報告1


沙流川河口を黙々と歩き、「ご挨拶」代わりに丁寧に優しくレンズを向け始めた中山さん)

朝鮮半島の「光」が届く北九州、そして遠く北米や欧州、さらに横浜を中心とする関東の景観の記憶を内蔵した中山さん(id:taknakayama)の目に北海道の土地はどう映ったか。9月17日から19日までの3日間、いわゆる観光地と私が比較的馴染んでいる地域を移動しながら、北海道の地理的な形象と歴史的な形象とが深く交差すると私が感じているスポット、ゾーンを中山さんと巡った。

初日早朝、新千歳空港に降り立った中山さんと一路、二風谷(にぶだに)を目指した。二風谷を育てた沙流(さる)川の河口は門別(もんべつ)町にある。そして二風谷ダムに沈んだ二風谷は隣接する平取(びらとり)町にある。私たちは沙流川河口の美しく穏やかに開けた景観の中で時間をかけて何かを待った。見知らぬ土地に土足で上がり込むわけにはいかない。何か許可のサインが感じられるまでは待つしかなかった。そんな時間はあっという間に過ぎた。そして許しを得たと感じてから、沙流川を遡り、平取町に入り、曰く因縁の二風谷ダムによって消えた静かで上品な土地をじっくりと透視した。萱野茂(かやのしげる)二風谷アイヌ文化資料館を訪ね、窓口の若い女性に、ダムに沈む前の土地の写真のことを訊ねたが、残念ながら存在しないようだった。昼飯は沙流川河口で出会った地元の方に薦められた、門別町のそば屋「松葉」の手打ち蕎麦にした。中山さんが注文した「ごぼ天」、特製のゴボウのかき揚げがのっかった蕎麦はなかなか美味そうだった。私はかしわ蕎麦にしたが、ごぼ天にすればよかったとちょっと後悔した。

無事、二風谷への挨拶を終えた私たちは支笏湖へ向かった。一転して恵庭岳、樽前山、風不死岳(ふっぷしだけ)に囲まれたダイナミックな支笏湖の景観のなかへ入っていった。「秘湯」丸駒温泉で一風呂浴びてから、山道を抜けて、「裏口」から札幌に入った。夜間ライトアップされる札幌軟石採掘場跡を整備した公園「石山緑地」にちょっと立ち寄った。

  • 「二風谷を訪ねる」04:49

  • 沙流川河口に立つ中山さん」00:06


(美しい写真は『横浜逍遥亭・写真帳』で)