subway drummers@Union Square:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、11月5日、309日目。


Day 309: Jonas Mekas
Monday, November 5th, 2007
3:59 min.

subway drummers,
Union Square
station, New York --

地下鉄ドラマー、
ユニオン・スクウェア駅、
ニューヨーク。

地下鉄のプラットフォームで黒人の男女のカップルが、ドラム・スティックでプラスチックのバケツを叩いている。それは見事な枹捌きによるアフリカン・ポリリズム。地下鉄の乗降客が周囲を行き来する。ひとりの老婆がカメラの前を行ったり来たりしている。男は4分以上かなり激しい連打を続ける。女は巧みに間の手を入れる。床を叩いて違う音色を入れたりしている。自然と人垣ができている。こんな演奏が目の前で繰り広げられたら、思わず立ち止まって、聞き入ってしまうだろう。演奏が終わると、拍手と歓声が上がった。「音楽は道具じゃない」と感じさせられる。彼らの背後には本格的なドラム・セットが置かれていて、もう一人の男が控えているが、バケツでこれだけの演奏をする男は、ドラム・セットをどう捌くのか、ぜひ見てみたい、聴いてみたい。

3月27日の地下鉄歌手(subway singer)にもそう感じたが、彼らはことさら「音楽」をやっているという風ではなく、たまたまそうやって生きている、という感じが強くする。それはニューヨークの音楽的土壌の豊かさであると言えるのかもしれない。マスコミやプロダクションやデジタル技術に飼いならされていない、しかも深い伝統をもちゃんと継承しているような、生々しい音楽する肉体を垣間見た気分になる。