ビジネスもまた情報デザインである

多くの人が何かに向かって動き始めるとき、そこでは当然多くのお金も動き始める。動こうとしている。ビジネスのチャンスとはそのタイミングを見逃さないことである。そんなメッセージをsimple Aは非常に分かりやすい具体例を挙げて発信している。時間軸における「シンプル」の見極め、と言えようか。

しかも、同じビジネスでも、汚い金儲けから楽園の創出にいたるまでの大きな違い、差があることに、simple Aは気づかせてくれる。つまり、simple Aが示唆していることは、そこに関わる人すべてが自ら進んで喜んでお金を出してくれるような、その意味で皆がハッピーになれるような、そんなオープンな場を設計することこそが、真のビジネスであるという認識である。それは世の中の動きをよく観察した上でなされる非常に具体的な情報アーキテクチャー、情報デザインの好例である。

もちろん、オリンピックとか万博とかいうレベルの企画、欲望の動員装置の是非については議論の余地は残されているが、simple Aの推薦図書「ベスト3冊」の筆頭は何と言っても、バタイユの『呪われた部分 有用性の限界』 であり、二番目はギアーツの『インボリューション―内に向かう発展 (ネットワークの社会科学)』である。そして三番目が「シンプル」という価値観のルーツである、ジョージ・エリオットの『サイラス・マーナー』なのである。

今後の展開がますます楽しみである。