札幌、五日ぶりの青空が広がる。藻岩山(→ Mt. Moiwa, March 30th, 2008)から吹き下ろしてくる北風が冷たい。
フクジュソウ(福寿草, Far East Amur adonis, Adonis ramosa,[Adonis amurensis])が朝陽を浴びて眩しいほど輝いて見えた。ふと、フクジュソウの英名、学名に見えるAdonisが気にかかって調べたら、そうだった。すっかり忘れていた。ギリシア神話に登場する少年の名だった。穀物の死と復活の神で、狩りの最中にイノシシに化けた軍神アレスに突き殺され、その血から同じキンポウゲ科のアネモネ(Anemone, Anemone coronaria)が生じたのだった。アドニスはあの愛・美・性の女神アフロディテに愛されもした。そしてそのアフロディテは元来は古ヨーロッパの豊穣の神、地母神だった……。面白いのはアネモネは学名にもAdonisの記憶はとどめていないことである。アネモネは「風」を意味するギリシア語の「アネモス(Άνεμος)」由来らしい。
たくさんの屍骸の中からまるで血にまみれたような新しい芽が出ていた。未同定。