スープカレー


H君が注文した辛さ1のチキンカレー。

以前からの約束で、まだスープカレーを食べたことがないという二人のゼミ生、3年生のH君とT君といっしょに老舗のスープカレー屋に行った。辛いものがあまり得意ではないH君はギリギリまで辛さ0(普通の辛さ)にするか1(少し辛い)にするかで激しく葛藤していた。私は1と決めている。T君は生意気にも「辛さはすぐに麻痺して甘さに変わるもんですよ」と激辛ラーメン体験を基に味覚変容の快感を語るほどで、辛いものが得意そうだが、極めて慎重な性格の故か、しばし腕組みして考えた末に3(辛口)にした。賢明な判断だと感心した。辛さのレベルは4(大辛)、5(激辛)まであるのだが、3との間には辛さに大きな隔たりがあるらしく、数十円の追加料金がかかる。私にとっては完全に未知の世界である。私は過去に2までは食べたことがあるが...、それ以来1に決めている。H君は結局私と同じ1にした。私が「0は男としては恥ずかしいよな」と余計なことを言ったせいかもしれなかった。ちなみに1と3の間の2は「中辛」である。整理してみよう。

辛さ0(普通の辛さ)
辛さ1(少し辛い)---H君と私が注文した
辛さ2(中辛)---過去に一度私が食べて後悔した辛さ
辛さ3(辛口)---T君が注文した
(未知の隔たり)
辛さ4(大辛)
辛さ5(激辛)

一緒に飯を食うと、普段のゼミの中だけでは窺い知れない面を知ることもできて面白い。例えば、H君は実はある野菜が苦手だとか。早速、Hが〜を食べられない原因の追求と、Hが〜を食べられるようになる計画などをめぐって話に花が咲く。

私の感覚では、辛さ1は、じわりと汗がにじみ出て来る、ほどよい辛さである。そもそもスープのコクとちょうどマッチした辛さである。ところが、H君にとってはやはり少し辛すぎたようだった。0にすべきだったという深い後悔の念が彼のいつもの笑顔を一瞬曇らせた。しかし、次第に慣れて来たのか、「旨い、旨い」と言いながら、きれいに平らげてしまった。T君の方は、黙々と辛さと闘っているというか、淡々と辛さを味わっているというか、ゆっくりゆっくりスプーンを口に運んでいた。これは途中でギブアップかと思わせる瞬間もあったが、彼は最後の一滴までスープを飲み干した。実は食前に胃の粘膜を保護する目的もあって皆で美味しいラッシーを飲んでいる。T君だけ、食後にラッシーをお替わりした。一番汗をかいていた。途中、「先生、味見してみてください」と勧められて、ほんの少しスープを味見した。彼が注文した牡蠣をメインの具材に使ったカレーは牡蠣のダシがよく出ていて、最初はその旨味が口のなかに大きく広がる。旨い。そして辛さが徐々に舌の奥の方に向かって襲って来る。かなり辛い。私には無理だ。

夏にやって来る金&坂には是非未知の世界である4か5に挑戦してもらいたいと思っている。