スモールマガジン『ようこそ北へ2008』フラッシュバック7:ゲームの中に世界を建築する男

七年ぶりに再会したハルル(id:haLRu)は相変わらず粘り強くアグレッシブだった。

2001年、私はその頃我流でウェブサイトを立ち上げて一人で遊んでいた。それを見つけて、「会って話がしたい」と言って東京から数回に亘って訪ねてくれたのが彼だった。当時まだ学生だった彼は情報建築の夢を語ってくれた。その後ウェブ関連の仕事に就き、数年前にゲーム業界に転身したことを、シュッポロ開催二週間前になって知らせてくれた。近況報告も兼ねてぜひ伺いたいという申し出に私はブログの僥倖を感じた。運良く飛行機のチケットも取れたという連絡が入ったのはシュッポロ開催一週間前だった。

7月30日午後、すでに他のゲストが揃っていた三上研究室に相変わらずスタイリッシュな彼はもう一人のゲストとして颯爽と登場した(らしい)。ちょうど私はプロジェクターを借り出すために学内の別の場所にいて、その瞬間を見逃した。七年ぶりの再会だったが、彼の顔を見た途端に、その間の時の流れは一気に無くなったかのような錯覚にとらわれた。

「特別講義」では彼は最近のゲーム業界の動向を踏まえた彼自身のゲームに賭ける夢を熱く語ってくれた。ゲームに疎い私にも彼が言わんとすることはよく伝わって来たが、ゲームに馴染みのある学生たちにはびんびんと伝わったようだった。ただし、哲学爺が黙っていなかった。そもそもゲームとはなんぞや? 世界が狭いんじゃないの? などとツッコミを入れた。それに対するハルルの応答は明快だった。先生のゲーム観は古い。セカンドライフさえ古い。へーっと、私は感心した。彼が力強く語った内容を哲学爺なりに翻訳するなら、こんな感じになるだろう。

現実を矮小化し代替するようなゲームではなく、それ自体が貴重な人生の少なくとも一部であり、さらに言えば、そこで非常に魅力的な世界が立ち上がるようなコミュニケーション空間ないしは建築としての「ゲーム」。それがハルルが全身全霊を打ち込んで日夜設計に勤しむゲームなのだった。

そんなハルルは、最後まで学生たちともよく語り合い、よき刺激を与えてくれた。ありがとう。