スモールマガジン『ようこそ北へ2008』フラッシュバック6:ファジーさんの背中にはアイヌの妖精たちが見えた

7月30日(水)、日帰り強行スケジュールでシュッポロに参加してくれたファジーさん(id:fuzzy2)が「通過儀礼」のスープカレーに間に合ったのは、彼の類い稀な情報収集力と脚力のお陰であった。

新千歳空港への到着時刻が予定より少しでも遅れたら、彼はスープカレーには絶対にありつけない、しかも、予定通り到着したとしても、到着ロビーから札幌行き高速バス停までダッシュしなければ間に合わないというほとんど絶望的危機的状況に彼はあった。

しかしファジーさんは前もってそのバス停が23番であることなど、自分の望みを実現させるために必要な情報を細部にいたるまで可能な限り収集していた。そしておそらくアイヌの妖精たちが飛行機を見守るように一緒に飛んでくれたのだろう。ファジーさんを乗せた飛行機は予定時刻に新千歳空港に到着した。さらにアイヌの妖精たちは引き続きファジーさんの羽となって、彼のダッシュを加速したに違いない。

そういうわけでアイヌの妖精たちの加勢もあって、ファジーさんは30日お昼頃には私たちに無事合流を果たしたのであった。

その日朝から藻岩山、盤渓峠で遊んだ私たちはファジーさんをピックアップするために札幌大学前のバス停に向かった。ところがすでに到着しているはずの彼の姿が見えない。大学正門を入ったところで車を停めて、私たちは彼を探した。するとしばらくして彼は手を振りながら、シュッポロ会場のある6号館の方から小走りにやってくるではないか。なんと、既に彼は6号館に潜入し、私の仕込みを確認した上で、会議室などの場所もチェック済みだった。そういう人ね、ファジーさんは。


すでに巷に知れ渡り伝説と化しているように、ファジーさんはなんと店主の警告を軽くいなして、最辛5のスープカレーに挑戦し、顔色一つ変えずに平らげたのである。もちろん、額から汗は滴り落ちていたが。そうそう、彼はちゃんと意味深な手拭と団扇まで持参するという遊び心も忘れない人なのでした。そんな怪物ファジーさんは三上研究室でもその眼力を発揮し、「三上さん、なんでこんなもの持っているの?」を連発してくれたのだった。

「特別講義」では坂東さん、金城さんに次いで三番手として登場し、「ビジュアル系プロフィールっぽいもの」(http://d.hatena.ne.jp/fuzzy2/20080727/p5)を材料にして、自らの知的好奇心の展開の歴史を概説しながら、自分の好奇心の種を自分で育てることの大切さとその結果拓ける展望について、15名の学生たちに優しく易しく語りかけてくれた。第二部の懇親会が始まってまもなく彼は再び時間との闘いモードに入った。何時何分にどういう手段、ルートで空港まで行けば帰りの飛行機にぎりぎり間に合うか。しかしファジーさんは本当にぎりぎりまで学生たちの相手をしてくれた。私がタクシーを呼ぶ手はずを整えなければ、彼は翌日の仕事を休んで札幌に一泊することになったかもしれない。感謝の拍手の中、皆に惜しまれて彼はシュッポロ会場を後にした。


私はファジーさんを外まで見送りに出た。坂東さんも付いて来てくれた。タクシーを待つ間、札幌の風は冷たかった。