真駒内川再訪


ビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花, Great or Common Mullein, Verbascum thapsus L.

私は石と水からなる身体の土地に住んでいる。土地の外部の景観を形成する内部の景観を透視するのが好きだ。軟石で出来た石山と呼ばれる地区が広がり、そしてその名も硬石山、砥石山、砥山などの山に囲まれ、それらの間の沢を何本もの川が下ってくる。すべては豊平川に合流する。そんな土地の性質は明らかに私の身体にも影響を与えている。いつも川の流れを感じている。昨年すべての川の様子を一通りチェックした。そのなかの一本に真駒内川がある。清流である。昨年訪ねたときには少年たちが釣りをしていた。昨年の記録はこちら。


ほぼ一年ぶりに真駒内川を再訪した。岩床が階段状に一部剥き出しになっているお気に入りのスポットに向かった。河川敷にはにょきにょきと背の高い植物が生えていた。一番背の高いやつで2メートルくらい。一緒に記念写真を撮ろうとしたがうまく行かなかった。ビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花, Great or Common Mullein, Verbascum thapsus L. )である。

そのそばではススキ(芒/薄, Chinese silver grass, Miscanthus sinensis)が風に揺れていた。

すこし上流の方に、大きな目印となるドロノキ(泥の木, Populus maximowiczii A.Henry)が聳える。

川に降りたら、先客がいた。昨年も同じようにカモメ(鴎/鴎, Seagull, Larus canus)を見かけた。あのカモメに違いないと感じた。


川の中央の少し盛り上がった岩床に腰を下ろして、『ラディカル・オーラル・ヒストリー』(asin:4275003349)の第三章「キャプテン・クックについて ホブルス・ダナイヤリの植民地史分析」を読み直した。アボリジニの教師ホブルス・ダナイヤリがキャプテン・クック=白人の大きな過ちと「われわれの」希望について静かに語った独白型の記録。


キャプテン・クックアボリジニの人々に対してフェアじゃなかった。
人々に、「元気かい」と言わなかったし
「こんにちは」とも言わなかった。
(『ラディカル・オーラル・ヒストリー』94頁)

その後、誰に対してもフェアに振る舞うために必要な笑顔の練習をする。うまく行かない。ぎこちない。