娘に誘われてTSUTAYAに行く。娘が音楽を漁っている間、私は映画を新作から旧作までジャンルを問わず一通り見て回る。二、三、目に留まるが借りる気は起こらない。レジ横に中古のVHSビデオ百円均一の棚があるのに気づく。期待せずに、近づく。ああ、懐かしい。ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』(1987)とキアロスタミの『桜桃の味』(1997)の廉価版がある。両方とも、何回観たか知れない。研究室にはBSで放映された際に録画したビデオがあるはずだ。買う必要はない。そう思いながらも、手に取って、クレジットを読んでいる。「ベルリンの壁をとらえた映像の記録としての価値は高い」という文句に心が少しだけ動く。「デビュー短篇作『パンと裏通り』を特別収録!!」の文句に心がちょっと動く。『パンと裏通り』は1970年作/白黒/11分。この偶然の出会いは、今晩中に観なければならない運命を暗示しているのかもしれない。でも、買っても観ないかもしれないなあ。それにVHSは嵩張るしなあ。かなり迷った末に買ってしまった。