グルジアは実りの秋を迎えていた

グルジアは実りの秋を迎えていた。リンゴ、カキ、ザクロから蜂蜜、チーズまで、様々な農産物を地元のおばあさんらが道路際に並べて販売中。自家製ワインも同様に道端で調達すると、もう立派なディナーが道中で楽しめる。

こんな風に始まる朝日新聞朝刊の小さなコラム「特派員メモ」で、グルジアには小麦とブドウとクルミで作る「チュルチヘラ」という可愛い名前の菓子があることを知りました。チュルチヘラのイメージはこちらで。

グルジアと言えば、8月15日のロシア部隊侵攻のニュース*1北京オリンピック(8月8日〜8月24日)の連日の報道の向こう側に霞んでいったことを思い出します。その後グルジア情勢は一進一退を繰り返した末に、10月8日ロシア部隊は撤退したと報じられました。*2

この小さなコラムからは、国末憲人記者が、グルジアでロシア部隊の撤退を取材した後、おそらくは異常な緊張感で固くなった体を運んで中部の都市ゴリに立ち寄った際に、馴染みのおばあさんの屋台で「チュルチヘラ」を食べるうちにその緊張が次第に解れていき、「戦争に疲れたこの国が秘める豊かさ」に触れえたことの喜びが伝わってきました。

「チュルチヘラ」は、小麦粉をブドウの果汁で溶いて、ひもに連ねたクルミを垂らし、引き上げて乾かしたら出来上がりという、いたってシンプルなお菓子で、食べるときにひもを引き抜き、ブドウとクルミを同時に味わうのだそうです。ブドウ農家が毎年、秋に1年分つくり、つるしておくのだそうです。グルジア中どこでも道端で売っているといいます。日本の漬け物に近い感じがします。手づくりなので、地方ごと、おばあさんごとに軟らかかったり、酸味が強かったり、とばらつきがあり、その微妙な味の違いも楽しみなのだそうです。国末記者は「甘酸っぱさと、ういろうのような歯ごたえに、病みつきになりそう。」と感動の声を漏らしていますが、そんなチュルチヘラの風味が伝わってくるような記事でもありました。

ところで、ブドウ農家で思い出しましたが、グルジアは最古のワインの国として知られるのでした。そもそもブドウの発祥の地のひとつであり、ワイン造りには5000年以上の歴史があるともいわれます。クレオパトラグルジアワインをこよなく愛したという逸話「クレオパトラの涙」も伝えられるほどです。

チュルチヘラというお菓子にはそんなブドウとワインの歴史的背景もあるのですね。