風を撮る


強風に何度か帽子を飛ばされそうになった。風が強く吹く度に大きく揺れる白樺や胡桃や楓の枝から振り落とされた黄葉が大量に宙に舞い、青空を背景に朝陽を浴びて煌めく。すでに落ちた葉が、足元のアスファルトの路面を一直線に、あるいは渦を巻きながら道端に吹き寄せられる。風の中に立ち止まって、黄葉が舞い上がり、舞い散る行方を目で追いながら何度もシャッターを切る。風を撮れたらなあと思う。結局、その場で強く感じはっきり見えたと思ったようには一枚も撮れなかった。