junky




内部は埃もほとんどなく、綺麗な状態だった。ピックアップレンズを清掃する。


ジャンク品(junk)に目がない。いわばジャンキーだ。ジャンクとは曖昧な概念だ。ある人にとってはがらくた、廃品であっても、別の人にとっては宝物になりうる可能性がジャンク品の世界にはある。物の使用価値も交換価値も時と場合によって大きく変動する。たまに立ち寄る近所のハードオフではいつもカメラやオーディオのジャンク品を物色する。カメラのジャンク品コーナーには宮本常一が使っていたオリンパス・ペンの銀塩カメラが数百円から千円くらいで数台あったりする。ちょっと悲しくなる。手にとってファインダーを覗き、シャッターを押す。宮本常一の視線を思い出す。一台買おうかと思う。その隣のガラスケースの中にはブレッソンが使っていたライカが十数万円で鎮座している、、。オーディオのジャンク品コーナーにはJBLのスピーカーやマランツのCDプレイヤーがいかにも廃品、部品でも再利用して、といった感じでまるで捨て置かれているかのようだ。しかし、同じジャンクでも、本来の機能が大きく損なわれ、部品を再利用するしかない状態のものから、一部の部品は損なわれてはいるものの、本来の機能は充分に果たすもの、あるいは損なわれていると判断された機能は実はそうではないものまで、その中身は千差万別である。部品を再利用するほどの知識も技術も執着もない私は、勢い本来の機能を果たすレベルの状態にあるジャンクを狙う。中には、店員の主観的判断によってジャンク扱いされているが、私にとってはまったくジャンクとは思えない代物も稀に存在する。実は、JBLのスピーカーJ216(1985)とマランツのCDプレイヤーCD-25(1985)がそうだった。J216はコード接続部分のネジが甘くなっているだけで、音はちゃんと出たし、CD-25はトレーの開閉のタイミングがやや遅いと感じられるだけで、再生にまったく問題はなかった。その遅さが「故障」と判断されたのだろうが、私にとってそれはCD-25の「個性」に感じられた。そんなわけで、J216とCD-25をあわせて数千円で購入した。



一年前に購入したバランスつまみが欠損しているだけでジャンク品扱いだったSansuiのアンプAU-D607G Extra(1983)との相性はよく、CD-25は見かけによらず、かなりよく音を拾い、J216からはアナログに近いイイ音が出ている。


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