When (1965/2005/2011)


Jonas Mekas on Wall Street from Jonas Mekas' Diary, October 2, 2011



When (1965/2005) from Jonas Mekas' Diary, October 12, 2011


2011年9月17日にはじまったウォール街占拠(Occupy Wall Street)は国内外に飛び火しながら現在も続いている。ジョナス・メカスはデモに参加した時の様子を撮影した写真を10月2日の日記に載せた。そして拳を振り上げる古い映像と「アメリカ独立宣言」の冒頭部分をカメラの目で追う映像をつないだ短い作品を「When (1965/2005)」と題して10月12日の日記に載せた。1776年7月4日がその「とき(When)」であったように、今こそ行動を起こすべき「とき(When)」であるというメッセージが伝わってくる。そしてそういうタイミングは近い過去にもあった。1965年といえば、アメリカ軍による北ベトナム爆撃(北爆)が開始された年であり、2005年はジョージ・W・ブッシュが二期目のアメリカ合衆国大統領に就任した年である。ちなみに、1965年の北爆に関する当時の記憶はないが、2005年1月、ブッシュの再選が決まった日の記憶は鮮明だ。その頃パロアルトのアパートに暮らしていた私は向かいの部屋に住む若いカップルと仲良くなった。その日の夜、大統領選の開票速報を見ながら食事しようとの誘いに快く応じ、ちょうどニューヨークから遊びに来ていたカップルを交えて五人で一緒に野菜サラダと数種のパスタとワインを交互に口に運びながら、テレビの開票速報番組の画面にかじりつき、州ごとの大勢が発表されるたびに一喜一憂していた。ブッシュの再選が決まった時、私たちは一様に落胆の声を上げたのだった。



United States Declaration of Independence (July 4, 1776)


ジョナス・メカスがカメラの目で辿る独立宣言文の冒頭は次の通りである。

When in the Course of human events, it becomes necessary for one people to dissolve the political bands which have connected them with another, and to assume among the powers of the earth, the separate and equal station to which the Laws of Nature and of Nature’s God entitle them, a decent respect to the opinions of mankind requires that they should declare the causes which impel them to the separation.

We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.-- That to secure these rights, Governments are instituted among Men, deriving their just powers from the consent of the governed, --That whenever any Form of Government becomes destructive of these ends, it is the Right of the People to alter or to abolish it, and to institute new Government, laying its foundation on such principles and organizing its powers in such form, as to them shall seem most likely to effect their Safety and Happiness.


和訳二例。

人類の歴史において、ある国民が、他の国民とを結び付けてきた政治的なきずなを断ち切り、世界の諸 国家の間で、自然の法と自然神の法によって与えられる独立平等の地位を占めることが必要となったとき、 全世界の人々の意見を真摯に尊重するならば、その国の人々は自分たちが分離せざるを得なくなった理由 について公に明言すべきであろう。

われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等で あり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ。こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。そして、いかなる形態の政府であれ、政府がこれらの目的に反するようになったときには、人民には政府を改造または廃止し、新たな政府を樹立し、人民の安全と幸福をもたらす可能性が 最も高いと思われる原理をその基盤とし、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる形の 権力を組織する権利を有するということ、である。

 米国大使館試訳「独立宣言(1776年)」より

人の営みにおいて,ある人民にとって,他の人民と結びつけてきた政治的な絆を解消し,自然の法や自然の神の法によってその資格を与えられている独立した,対等の地位を地上の各国のうちに得ることが必要となるとき,人類の意見をしかるべく尊重するならば,その人民をして分離へと駆り立てた原因を宣言することが必要とされるだろう.

我らは以下の諸事実を自明なものと見なす.すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.これらの権利を確実なものとするために,人は政府という機関をもつ.その正当な権力は被統治者の同意に基づいている.いかなる形態であれ政府がこれらの目的にとって破壊的となるときには,それを改めまたは廃止し,新たな政府を設立し,人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその政府の基礎を据え,その権力を組織することは,人民の権利である.

 友清理士「アメリカ独立宣言・全訳」より