アソーレス群島の不思議なダンス


A Video-Postcard from Giuseppe and Sebastian in the Azores, Jonas Mekas' Diary March 23, 2012


(承前)コズミック・ダンスと言えば、ジョナス・メカスの3月23日の日記に上げられた、息子セバスチャンが撮影したヴィデオを連想する。セバスチャンはジュゼッペと共に北大西洋の真ん中に浮かぶポルトガル自治領のアソーレス群島にいる。どの島にいるのかは分からない。ヴィデオには「アルモニカ・フルネンセ協会(the Sociedade Harmónica Furnense)」という非営利の文化活動組織の建物の曼荼羅のような模様のタペストリーがかかった白壁の一室で、「マリア・ジョゼとその一味(Maria José and the Gang)」と呼ばれる女性たちと幼い子どもたちがギターの軽快な伴奏に合わせて踊る様子が映っている。不思議なダンスだ。各自が思い思いのステップで思い思いの方向に進み、衝突しそうになるとお互いにひょいと身を翻して避ける。回転したり、両手を上げたりしている。どこか天体の運行に似ていると感じた。セバスチャンは終始低い位置に固定されたカメラのこちら側にいて、姿を見せない。ダンスにじっと見入っているようだ。ジュゼッペはとても愉快な様子で踊りの流れの中に入ったり出たりしている。ちなみに、アソーレス群島はプラトンが語ったアトランティス王国が栄えた島の名残りであるという空想的な説もある。アトランティス王国は強大な軍事力を背景に世界の覇権を握ろうとしたが、ゼウスの怒りに触れて一夜にして大地震と洪水のために島もろとも海底に沈んだとされる。


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