喫茶ナンシーで







散歩の途中で三週間ぶりにMAMIYA Press23(1967)とWISTA Rittreck View(1965)を拝みに喫茶ナンシー(南15条西8丁目)に立ち寄った。窓際のMAMIYA Press23は外の景色を逆さまに映していた。喫茶ナンシーではヨーロッパなどで買い付けたアンティークも扱っていて、店内のほとんどすべての調度品は商品でもあるため、前回私が座った二人掛けのテーブルと椅子は売れてもうないという変化が起こるから愉快である。カウンター席に腰掛けてコーヒーを飲みながら店主の西夛(にした)さんと雑談する。前回初めて立ち寄った時に撮らせていただいた店内の写真を差し上げた。とても喜んでくれた。店名のナンシーはやっぱりフランスのガラス工芸の中心地ナンシーに関係があったというより、正にそのものであった。エミール・ガレのものをはじめナンシーのガラス工房で作られたガラス花器や照明器具などに惚れこんで、ナンシーと命名したという。入店したときには、ちょうどビル・エヴァンスがかかっていて、疲れた体に心地よく沁み渡った。去り際には六十年代のブラジルのカルテットの軽快な演奏が聞けて、その後の散歩の足どりも軽くなった。


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