大雪祈願成就か

札幌、雪。霙(みぞれ)に近い。積もった雪は湿って重たく、道はシャーベット状の雪でぬかる。藻岩山がうっすらと姿を現した(→ Mt. Moiwa, December 15th, 2007)。ゲレンデ部分も真っ白になった。藻岩山スキー場関係者の皆さんもひと安心だろう。一昨日「大雪祈願、云々」と書いた翌日の大雪だった。タイミングが良すぎて、ちょっとおかしな気分だった。

昨日から、撮った写真のほとんどはモノクロームのように見えて驚いた。「色」がない。今朝は足許に気を取られながらも、雪化粧した木々の姿に目を奪われた。

林1。

林2。

林3。

林4。

新雪の上の『グラヌール』No.9


新雪の上の『グラヌール』と絵葉書)

昨日届いた『グラヌール』No.9(石塚出版局, 2007.12)に、昨年暮れの印象深い夕暮れの集い(12月22日12月23日12月24日12月26日)を思い出させてくれる吉増剛造さんの文章が載っていた。私の恩師である工藤正廣さんとの15年ぶりの対話を文字に起こしたものだった。その場にいて聞いていたはずなのに、こんなことを語っていたのか、と驚くことがたくさんあって、そのなかには、現在私が直面している問題に深く交差する話題もあった。(その時は、私は両氏の15年前の対話を辿るので精一杯だったことを思い出す。)例えば、「テロリズム」をどう考えるかという問題である。復刊された工藤正廣さんの訳書『蒼ざめた馬』をめぐって、吉増さんが独自のテロリズム論のさわりを語っている。テロリズムに陥らないテロリストたれ、とでも要約できる興味深い考えである。思えば、この世で「詩人」として生きるということは、そのような意味でのテロリストたることを覚悟するということだろう。いわば孤立無援の立ち位置から、私たちの生きている場所を何度でも語り直し続けること。

わん、つー、すりー、言っちまえ! やっちまえ、そういう始源的なもの、なんかなきゃ……
(中略)
いち、にっ、さんっ(パン)。それは誰にだってありますよ。
(中略)
実際そこに起こったこと。
 だからテロリズムとか政治的なことを言うけれども、われわれが生きている、生きてるっていうのは、そういう選択しないで向こう側からものを言わせれば、無限にそういうものに溢れている。やっぱりその時々に聞いているものを即座に忘れていっちゃうわけですよ。そういうものを生かす。そして自分で訓練してそれを生かすようなことを、それが、少しずつ私たちにも出来てきはじめたみたいな気がします。(9頁)

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『グラヌール』9号(glaneurs No.9)内容:

  • 吉増剛造「ほっかい(え)どうの ねのくにへ〜」
  • 多和田葉子「漢字考」
  • 工藤正廣「春香より一葉」
  • 中村達哉「木の葉が落ちる」
  • 石塚純一「拾う人(8)」
  • 石塚千恵子「附記」
  • さとう絹恵「花 白露草」(表紙絵)

9号の言葉は襤褸(ぼろ)

語りの作法

単に経験「を」語るのではなく、経験「で」語ることができるようになること。単に「私の世界」を見せる、示すだけに終わるのではなく、あなたとシェアできる部分があると思うんだけど、どうかな、と働きかけること。若きウィトゲンシュタインが『論理哲学論考』で完成した、ある意味で怖い「他者」をそこから排除した完璧な世界観を踏まえながら、しかし、「世界」として思い描くことのできない、まだ無意味かもしれない、まだ理解不能かもしれない「場所」に飛び出すこと。そこが関係性としてのコミュニケーションの現場である。ウィトゲンシュタインが語れなかった「愛」である。昨日の講義では、そんなことを語っていた。

a jam session with Harmony Korine & friends:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、12月15日、349日目。


Day 349: Jonas Mekas
Saturday, December 15th, 2007
3:39 min.

a jam session
with Harmony
Korine
& friends

ハーモニー・コリン他の
友達と
ジャム・セッション

登場するのは、ハーモニカ:ハーモニー・コリン(笑)、アコーディオン:ジョナスメカス、太鼓:赤いスーツを着た男、アコースティック・ギター:黒っぽいスーツを着た若い男、ポラロイドカメラ:黒っぽいスーツの着た男。文字通りの「ジャム・セッション」。楽しそうだ。

ハーモニー・コリンについては、4月4日のエントリー「十代の花嫁 Harmony Korine」を参照。そこで触れた「他人を演じることでしか生きられない、純粋で不器用な男のラブストーリー」という彼の新作映画『ミスター・ロンリー(Mister Lonely, 2007)』の日本公開は2008年正月ロードショーの運び。