正体不明の小鳥

札幌、曇り。青空はどこにも見えない。体感気温マイナス1℃。路面はつるつる。藻岩山は化粧が半ば落ちたような気の抜けた表情に見えた。

散歩する界隈は交通量の多い国道から100mほど山側に入った場所なので、車の騒音はほとんど聞こえない。写真左側のフェンスの奥に広がる原生林からジュウシマツとツグミのさえずりと、時折カラスの声しか聞こえない。それと雪と氷を踏む靴音。突然、初めて聞く高くか細い鳴き声がした。鳴き声の方角に目を凝らすも、姿が見えない。すると視界に木肌を舐めるように移動する非常に小さな動物が入った。一瞬リスかな、と思った次の瞬間、それは重力を無視するような曲芸飛行で飛び立った。サイズは雀の半分以下、おそらく体長5cmくらいで体型は細身の印象だった。その動きからカワセミを連想した。カメラを向ける余裕はまったくなかった。

鳴き続けるツグミを撮った。

雲が皺寄せられた隙間から太陽がわずかに顔を覗かせていたところを撮ったはずが、写っていない。その代わり頼りなげにたるんだ電線が写っていた。撮影時にはまったく見ていなかった。